講義No.08124 教育

世界と比べて見えてきた、日本の学校教育の特徴とは?

世界と比べて見えてきた、日本の学校教育の特徴とは?

オーストラリアの取り組み、日本にも導入したい?

オーストラリアの小学校には、いいことをするとご褒美がもらえる取り組みがあります。友だちにやさしくする、教室の片づけをする、きれいな字で課題を仕上げるなど、よい行いが見られると、その場にいる教師からシールがもらえます。そのシールを10枚集めると、くじ引きができ賞品がもらえるのです。オーストラリアの学校では、ご褒美が教育活動に積極的に取り入れられています。シールを渡すことで「よい市民としての行動は何か」を教え、よい行いをしようとする子どもの意欲を高めているのです。

教育に賞罰を用いることに抵抗のある日本

大学生に、この仕組みを日本の学校にも取り入れたいかと質問をすると「なんとなく抵抗がある」「導入したくない」と答える学生が多いです。その理由は「よい行いはご褒美のためにするのではない」「ご褒美をもらいたいからやったわけじゃないのに、という複雑な気持ちになる」からというのです。
アメリカのミルズ大学のキャサリン・ルイス教授は「教育に賞罰を用いるのは、子どもをコントロールする容易な方法だからですが日本では抵抗があります。日本は『良いことだからそれをする(褒美が欲しいからではない)』『悪いことだからそれをしない(罰を受けたくないからではない)』ということが成立する、世界でも珍しい国です」と述べています。

日本の学校教育は世界のお手本?

日本は先進国の中でも教育予算は最低レベルですが、国際学力調査では常に上位という「低コスト・高クオリティ」な教育を実現しています。なぜそのようなことが可能なのか、世界各国は興味津々です。また、OECD(経済協力開発機構)も「日本は今や教育改革のトップリーダーとして世界に模範を示す国」と言っています。今、日本の学校教育は世界から熱い眼差しを注がれているのです。世界からの視線を合わせ鏡とすることで、私たちが当たり前だと思っていた日本の学校教育が財産であることに気づくかもしれません。それが教育の国際比較調査の醍醐味なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 山田 真紀 先生

椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 山田 真紀 先生

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教育学、比較教育学、教育方法学

メッセージ

あなたにとって、学校は身近なものですね。身近なものほど、あたり前すぎてその特色が見えづらいものです。日本の学校は世界から見るとどのように見えるのでしょうか。
国際比較の観点から日本の学校教育の長所と短所を分析するのは、自分の「あたり前を問い直す」楽しい作業です。学校や教育をじっくりと学ぶと「教師」になるという道も開けてきます。教師は子どもたちの成長のお手伝いができるとても素敵なお仕事です。教育や子どもの発達、学校に興味のある人はぜひ教育学部に進学してください!

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
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「わたしは、強く優しい、輝く先生になる。」
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子ども発達学科では、長期的な視野と多様な視点で子どもたちを見守る教育者・保育者の養成を目指し、保育と幼児教育、幼児教育と小・中・高等学校教育の垣根を越えた複数の資格・免許を取得できる環境を用意。徹底した少人数教育と個別指導、椙山女学園の総合力を生かした多彩な実習プログラムにより、優れた指導力と豊かな人間性を育みます。