「多文化共生社会」は信教の自由から始まった

「多文化共生社会」は信教の自由から始まった

信教の自由はなぜ大切か?

グローバル社会における多文化共生のためには、宗教は非常に重要なものです。現代の日本は多文化共生社会ですが、かつては禁教令を定めてキリスト教徒を迫害していた時代もありました。現在は法律で信教の自由が認められているため、キリスト教徒はもちろん、イスラム教徒なども日本で生活しています。信教の自由は相手の人権を尊重するために大切な考え方・マインドであり、それを保障するための社会制度は異文化コミュニケーションに絶対に必要です。

多文化共生社会の原点

歴史的に見ると、信教の自由を保障するマインドを最初に作り上げたのはキリスト教、特に17世紀のプロテスタントでした。当時のキリスト教にはカトリックとプロテスタントによる宗教戦争や、プロテスタント内の派閥争いがありました。しかし、キリスト教の終末論によると、最終的な真理は最後の審判を下す神以外にはわかりません。そこで神を絶対化し、人間の意見は相対化しようという考え方が生まれました。これが寛容の精神のルーツであり、それを社会制度化したものが信教の自由であり、多文化共生社会の原点なのです。

共生に必要なスキル

異文化コミュニケーションにはマインドだけでなくスキルも必要です。特に海外ではCQ(異文化適応能力)が重要視されています。CQにはモチベーション、知識、戦略、行動という4要素があり、すべてを高めることで異文化適応能力が培われます。
これは異文化コミュニケーションだけにいえることではありません。新型コロナウイルスの予防を例に考えてみましょう。まずは正しい知識に基づいて、手洗い用の石けんなど必要な道具を用意する戦略を立てることができます。しかし、モチベーションがなければ戦略を思いつきませんし、実際に手洗いうがいをするなどの行動を起こさなければ意味がありません。同じように異文化コミュニケーションも、CQの4要素を意識して取り組むことが求められるのです。

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先生情報 / 大学情報

フェリス女学院大学 文学部 コミュニケーション学科 准教授 相澤 一 先生

フェリス女学院大学 文学部 コミュニケーション学科 准教授 相澤 一 先生

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異文化コミュニケーション学、宗教学

先生が目指すSDGs

メッセージ

将来の進路を選ぶとき、興味があることや自分の特技に注目するかもしれません。しかし人生には「流れ」があり、ふと気がつくと一番いい場所に導かれていたりするものです。ですから、高校生のうちから進路について悩みすぎなくてもいいでしょう。
あなたの経験という身長は、まだ伸びている途中です。もっと背が伸びてくれば、今は見通せない景色まで自然と目に入るようになるはずです。10年後などに振り返って初めて見えてくるものもあるので、将来目にする景色を楽しみに高校時代を過ごしてください。

先生への質問

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フェリス女学院大学は、1870年に日本初のキリスト教系女子教育機関として誕生して以来、
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主体性を伸ばす少人数教育やきめ細やかな学習サポート、豊富な海外留学制度や個人相談を重視した就職サポートなど、学生の意欲と質を高める制度も充実しています。
創立者メアリー・E・キダーは、明治期に女子教育を行うという目標に果敢に取り組みました。フェリス女学院大学で、あなたらしい目標を探してチャレンジしてみませんか?