講義No.14166 音楽 教育

「音楽×◯◯」で新たな視点を養い、社会とのつながりを考える

「音楽×◯◯」で新たな視点を養い、社会とのつながりを考える

音楽にほかの要素を加えてみる

私たちは、コンサートや音楽配信サービスなどを通じて、音楽に親しんでいます。こうした音楽のあり方の一方で、作曲家の中には音楽以外の要素と関わりあって作品をつくるという人もいます。そして、それがどのような可能性をもち、どのような影響を聴き手や参加者に与えるのかについて考える研究が行われています。

新たな視点や気づきを促す

研究活動は「音楽×◯◯」というイベントを通して行われます。たとえば「虫と音楽」というイベントでは、昆虫博士から虫が発する音について学んだ後、虫の音を模倣して音を創りそれらを重ねていく体験をしたり、虫がテーマの音楽を鑑賞したりします。昆虫好きな参加者は音楽の魅力にも出会い、音楽好きな参加者にとっては楽器の音だけではなく自然界の音にも向き合う場となりました。また、「木」を素材として「音」を創りだす、子どもを対象としたワークショップでは、樹木について学び、創作することで、理科や算数、図工などの能力を養うことにもつながります。
弦楽四重奏作品とカエルの鳴き声による田んぼの中での音楽会では、弦楽器の音が大きくなるとカエルも反応して鳴き声が大きくなるという現象に、参加者には予期せぬ感動や新たな気づきを促すことができます。

音楽創作を身近なものにする

今後は、家の中と外をつなぐ場である「庭」での音づくりワークショップが考えられています。風の音や鳥の鳴き声、街のざわめきなど様々な音を感じ取り、その音に対して自分が考える音を重ねる体験を通して創作を学びます。音楽教育の現場において、創作活動はハードルが高いと捉えられがちですが、こうしたワークショップが創作を身近なものにしていくと期待されます。
また、日本の各地域や他国に伝わる音楽の仕組みや文化的背景を活用して、新たな音楽を創作することも考えられます。多様な要素と関わり合いながら創作することは、多角的な視点や考え方を養い、人は常に社会と関わりながら生きているということを考えるきっかけにもつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

岩手大学 教育学部 音楽教育科 准教授 大場 陽子 先生

岩手大学 教育学部 音楽教育科 准教授 大場 陽子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

作曲、編曲

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校時代は、様々な場所へ出かけて、より多くの体験を積んでほしいです。特に将来教員をめざすなら、いろいろなことに好奇心を持って体験し、学び、考えて、たくさんの引き出しを持つことが大切です。教員とは、大勢の子どもたちを相手にする仕事です。引き出しを多く持っていれば、多様な個性を持った子どもたちに対応できる力が養われます。ぜひ、好奇心を高め、創造力を養い、自分の中の引き出しを増やしてください。

岩手大学に関心を持ったあなたは

岩手大学は、人文社会科学部、教育学部、理工学部、農学部の4学部からなり、文理バランスの取れた総合大学です。
宮澤賢治も学んだ歴史と伝統、そして市街地ながら緑あふれるキャンパスは利便性も高く、落ち着いた学びの環境を形成しています。
また、全学部がワンキャンパスにあるため他学部の学生との交流も盛んで、学生の研究や就職などにも大きな効果をもたらしています。
大学HPでは、学部紹介やニュース、「岩手大学公式X」等で大学の魅力をお伝えしています。興味を持った方は是非ご覧になってみてください。