在宅医療への移行で重要性が高まる外来看護
外来看護ではなく外来運営だった?!
病院で実施する看護には「病棟看護」と「外来看護」があります。これまでの外来看護は、患者の診察や検査がスムーズに進むための外来運営に重点が置かれていました。外来患者の「生活」に目を向け、患者の療養相談にのったり、必要な情報を提供したりという活動が、外来看護として実践される体制はなかなか整備されませんでした。しかし近年、人口の高齢化、慢性疾患患者の増加、入院期間の短縮化、病床数の不足、外来医療(日帰り手術や外来化学療法など)の進歩などを背景に、医療全体が「在宅」へと移行する中、外来で治療と生活の両立を支援することの重要性が高まっています。
外来で長期的に患者と関わり、ケアする
患者がなるべく入院をしないようケアするためには、外来で患者の療養相談にのったり、情報提供したり、その患者の担当看護師(プライマリーナース)として、長期間ケアしていくことを考える必要があります。そのとき大事なのは、計画的にケアを行う体制です。長い外来通院の間には、安定していた症状も変化することがあります。患者の生活や気持ちが変化することもあるでしょう。長い外来通院の間に起こりうるさまざまな変化を予測し、治療と生活の両立に支障をきたさないよう予防的にケアするためには、看護師が計画的に患者と関わり、ケアのタイミングを逃さないようにすることが大切なのです。
新しい(本来の)外来看護について考えよう
外来看護師の中には、外来運営こそが外来看護師の仕事だと思っている人や、外来看護をしたいと思っていても外来運営が忙しくてできないという人もいるでしょう。本来、外来看護はとてもやりがいのある仕事です。外来受診する患者と面談し様子を見ていれば、何らかの変化に気づくことができます。カルテや検査データを見れば、診察内容や病気・治療の状況もわかります。外来運営中心の「古い外来看護」から脱皮し、患者に関心を向けコミュニケーションを通して行う「新しい(あるいは『本来の』)外来看護」について共に考えましょう。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 看護学科 准教授 島田 恵 先生
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