民主主義って多数決? 民主主義を学ぶ
民主主義とは
デモクラシー・民主主義とは、社会を構成する民衆や国民が、直接もしくは自由選挙で選ばれた代表者を通じて社会全体にかかわる決定を行う統治制度のことです。その起源は古代ギリシャにありますが、大きく発展したのは17~18世紀の市民革命以後のことです。この時期に、国民主権、基本的人権の尊重、民主的政治制度の確立など、近代国家の原型が形成されました。
民主主義とは多数決?
多くの人が民主主義と聞くと真っ先に思い浮かぶのは「多数決」でしょう。フランス人のトクヴィルは19世紀前半にデモクラシーをいち早く評価した人ですが、他方で、デモクラシーには「多数者の専制」の危険があるということを指摘した人としても知られています。例えば、100人のうち51人がイエスと言い、49人がノーと言ったとします。多数決の原理では51人の側の意見が通るわけですが、49人の権利や自由が多数派による決定によって脅かされたとしたらどうでしょう。「民主主義と何か」という問題は存外難しい問題です。
リベラル・デモクラシーの試練
先進各国のデモクラシーは、2つの世界大戦を経て発展を遂げました。とくに第2次大戦後、ファシズムの反省から、「多数者の専制」の危険が意識され、個人の自由や人権の擁護が重視されました。その後、経済成長もあって、民主主義が十分に市民のあいだで定着すると、民主主義のさらなる充実が課題とされ、市民の政治参加が促進されていきました。
しかし現在、デモクラシーは新たな転換期を迎えています。自由競争や規制緩和がもたらす経済格差、強権的体制をとる国の経済的躍進などから、先進国では民主主義に対する自信の揺らぎが生じています。デモクラシーの研究は、これからのわたしたちの針路を考えるうえでますます重要な意味を持ってくるはずです。
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大阪公立大学 法学部 法学科 教授 野田 昌吾 先生
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