政治とカネと派閥
巨大与党派閥のお金の問題
自由民主党には「派閥」と呼ばれる議員グループがあります。現在の「小選挙区比例代表並立制」が導入される前の中選挙区制では、1つの選挙区から2~5名の議員が当選していました。議席の過半数を獲得するためには、選挙区に党から立てる候補者は1人では足りません。複数の候補者を立てて、同じ政党の仲間同士でも争わなくてはなりません。そこで党としての応援に加えて、派閥が個々の議員を政治資金も含めて応援するようになりました。派閥のトップは独自にお金を集めなくてはならず、違法な政治献金など、お金をめぐる問題が表面化します。
クリーンな選挙をめざした選挙制度の変更
議会制民主主義の政治は多数決で行われるので、数を集めるために派閥のようなグループができるのはやむをえません。ただし選挙では、派閥の資金に頼らずに政党が打ち出す政策で当選者を決めようと、1994年の「政治改革4法」で導入されたのが小選挙区比例代表並立制です。しかし米ソ冷戦の終結やバブル崩壊によって、国民の政治への関心が資本主義か社会主義かというイデオロギー(思想)から生活に移ると、政治的な無力感から政党に期待しない無党派層が増えました。議員個人を応援する後援会の票が選挙に与える影響が一層大きくなり、後援会の維持・拡大に必要な資金の支援は、今も派閥の役目となっています。
議会制民主主義を維持するコスト
多様性のある社会では、政治への要望もさまざまです。しっかりと研究して政策を打ち出すなら、公設秘書だけでは人手が足りず、議員個人でスタッフを雇うことになるでしょう。しかし、政治のコストは政治家だけが負担すべきものなのでしょうか。
政治について考えて、自分の意見を持つことから政治への参加が始まります。議会制民主主義は政治の主権者である国民が選択した政治制度です。政治を維持するコストを主権者である国民も負担して、クリーンな政治をしようと定められたのが、国民1人あたり毎年250円を国税から政党に助成する「政党交付金」なのです。
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東北公益文科大学 公益学部 公益学科 教授 門松 秀樹 先生
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