食品成分の未知なる力とは?
食品の「生態調節機能」を解明
あなたが普段、何気なく食べている食品には3つの機能があります。一次機能は生命現象を営むうえで必要なエネルギーを供給すること、二次機能は味、香り、見た目といった感覚・嗜好に働きかけることです。そして、三次機能とされているのが「生態調節機能」で、私たちの健康を維持・増進させる作用を持っています。昔から「食養生」、「医食同源」という言葉がありますが、食が健康に作用するメカニズムは、ほとんど明らかにされていません。健康につながる栄養素や成分を見出し、その作用システムを明らかにすることで、病気の予防や改善につなげようという研究が行われています。
フランス人に動脈硬化が少ないのはなぜ?
フランス人はバターたっぷりの高脂肪食を多く食べていながら、動脈硬化などを発症する人が少ないのは、赤ワインに含まれるポリフェノールという成分を多く摂取しているのが要因の一つと言われています。また、静岡県のある地域でがんになる人が少ないのは、お茶をよく飲むことが関係していると考えられています。このように病気の発症率や平均寿命は国や都道府県によって異なり、その差異には食生活が大きく関係していると言えます。
医療や美容分野で注目される有効成分の発見
緑茶、アロエ、ナツメ、西洋ニンジンの葉といった身近な食材には、がん細胞だけをピンポイントで抑制する不思議な成分が含まれており、抗がん効果があることがわかっています。タイ料理のトムヤムクンなどに使われるショウガ「ナンキョウ」には、「ACA」という成分が含まれており、高い抗酸化作用を持っています。さらに、ACAにはコラーゲンの産生を促す作用があることが解明されており、そのメカニズムを応用して皮膚の損傷治療や、肌のアンチエイジングに生かそうという取り組みも行われています。このように、昔からの伝承や習慣で、「カラダによい」と言われてきた食品がヒントになって、生活習慣病などの治療に有効な成分が発見されているのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪公立大学 生活科学部 食栄養学科 准教授 小島 明子 先生
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