どんな自分の人生にもYESと言おう! 希望の心理学
20世紀最大級のベストセラー『夜と霧』
「人間が生きる意味とは何だろう?」、そんな問いにヒントを与えてくれるのが20世紀最大級のベストセラー、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』です。これは精神科医フランクル自身のユダヤ人強制収容所体験を記したノンフィクションです。家族や恋人とも引き離されて、食事は一日1回、お風呂には1度も入れず、排せつの時間も決められていた収容所の過酷な環境で、数百万人が命を落としました。そんな極限状態の中で、フランクルは妻と再会すること、ライフワークである「生きる意味」の研究を出版することに希望を託して、奇跡的に生き延びたのです。
極限状況を生き延びた人とは?
心理学者でもあったフランクルは、ほかの収容者たちを冷静に観察して、極限状態を生き延びた人たちの共通点に気づきました。それは頑丈な体つきの人でも、コミュニケーションの得意な人でもなく、内向的で繊細な感受性を持った人だったのです。いわゆる「繊細さん」たちは、感受性が鋭くて外側の世界に時としてうまく適応できない代わりに、自分だけの豊かな内面世界を持っています。彼らは、自分にとって大切な誰か・何かを「よりどころ」にして生き延びることができたのです。
「生きる意味」の3つの価値
フランクルは、人間には体・心・魂の3つの次元があり、体と心は病になることがあっても、魂は誰にも傷つけられず、奪われないと唱えました。魂は生きる意味を求めていますが、人間が生きる意味には、「創造する価値」「体験する価値」と「避けられない苦しみを引き受けた時に生み出せる価値」の3つがあると言います。例えば、戦争・自然災害・病気・家庭問題・大切な人との別離・容姿の悩みなど、個人の努力ではどうしようもない不条理。そんな避けられない苦しみがあっても引き受けて、「それでも自分の人生にYESと言う」ことが生きる希望になります。フランクルの思想は「生きる意味を求める」という人間の実存的欲求を満たしてくれるのです。
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