心の整え方-悩みも弱さも認めることで、新しい自分が見つかる-
認知と行動
友人から「とても面白かった」と勧められた映画やゲームを試してみたけれど、自分には全く面白く感じられなかった、という経験をしたことはないでしょうか。同じ行動(映画鑑賞やゲーム体験)をしたとしても、それをどう受け止めるのか、すなわち「認知」するのかは、人によって異なります。認知は、人間の根本にあるものと捉えられています。そして、映画を見て笑ったり泣いたりするように、認知と行動はつながっています。こうした、自分が何をどのように認知するかを、自分でわかるようにするという考え方を「認知行動的セルフモニタリング」といいます。
自分を認める
認知行動的セルフモニタリングはいくつかの世代に分かれています。その中の「第三世代の認知行動的セルフモニタリング」は、問題や悩みを解決しようとしないことを特徴とします。例えば不登校へのケアは「悩みをなくし、学校にいけるようにする」という姿勢が一般的です。しかし「第三世代の認知行動的セルフモニタリング」では、学校に行きたくないという児童・生徒の気持ちを認めて、学校に行かない代わりに「自分が何をするのか、社会とどうつながるのかを考えよう」という方向に認知を変えていきます。このように、その人のありのままを受け止めることで、長所が伸び、いきいきとした日々を送ることができます。悩みも弱さも認めることで、そこから新しい自分が見つかると考えます。
新しい発見
認知行動的セルフモニタリングは、「マインドフルネス」とも密接な関係にあります。例えば悩みや葛藤を抱えているときに、自然に囲まれた静かな空間で眼を閉じ、自分の身体に意識を向けてみることで、心が悩みから離れ、すっきりとした気分になることがあります。
自分の可能性を高めて、新しい日常を発見させてくれる認知行動的セルフモニタリングは、教育心理学や臨床心理学といった分野の重要な研究対象にもなっています。人々に自分の良さを認めてもらい、それが他人や社会を尊重する姿勢も育むという、非常に重要な手法であり、概念なのです。
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仙台白百合女子大学 人間学部 心理福祉学科 教授 山﨑 洋史 先生
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