大気中のPM2.5が生活習慣病を引き起こす?
健康に悪影響をもたらすPM2.5とは?
あなたはニュースなどで「PM2.5」という言葉を聞いたことがありますか? PM2.5は大気汚染物質の1つで、直径約2.5マイクロメートル、髪の毛の太さの約30分の1以下の超微小粒子のことをいいます。特定の物質を指すわけではなく、炭素成分や硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩などさまざまな成分を含んでいます。工場から出る煙や自動車の排気ガスなどに含まれており、風に乗って私たちのまわりに飛んできます。PM2.5は非常に小さく、肺の奥深くにまで入り込むので、健康へのさまざまな悪影響が懸念されています。
生活習慣病の原因にも?
従来からPM2.5は喘息や気管支炎などの呼吸器系の疾患を引き起こすことや、アレルギーへの影響が指摘されてきました。近年では、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす可能性も疑われるようになりました。生活習慣病は医療費の約3割、死亡する人の約6割を占めており、その予防は我が国において重要な健康課題の1つです。ただしPM2.5と健康についての研究は多くはなく、生活習慣病に影響を及ぼすメカニズムはまだよくわかっていません。現在はヒトや動物を対象とした試験が行われている最中です。
食生活の観点からPM2.5の健康被害を予防する
生活習慣病では、日常の生活習慣や運動との関連はもちろん、食生活との関連も非常に強いといわれています。食生活の乱れは生活習慣病の可能性を高めますが、PM2.5がそれに拍車をかけているかもしれません。環境中の化学物質が体内にとりこまれると、特定の栄養素の必要量が増加することが知られています。PM2.5も同じように、生体内での代謝にもっと必要な栄養素があったり、特定の栄養素のとりすぎにより健康被害が悪化したりする可能性もあります。日常的な食生活とPM2.5との関連、生活習慣病を引き起こすメカニズムが明らかになれば、多くの人の健康に役立つものと期待できます。
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東海大学 農学部 食生命科学科 講師 外村 彩夏 先生
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