AIで、人の心に寄り添う音楽プレイリストを作るには?
感性工学・感性情報学とは何か
「感性工学・感性情報学」は、感情やモノへの印象、好みなど、人間の感性をコンピュータでシミュレートし、サービスや製品の提案に結びつけていくことをめざす学問です。的確な分析に基づいた、より快適で楽しく、使い続けたくなるような提案をすることで、人間のウェルビーイング(幸福)を高めていくことを目標にしています。
楽曲を数値化してプレイリストを生成
音楽配信サービスなどで利用している楽曲のプレイリスト機能を、より進化させる方法について考えてみましょう。例えば、その時の気分に合ったプレイリストを、自動的に作り出すようなことです。音楽は、メロディ、ハーモニー、リズムなど、いくつかの要素によって特徴づけることができます。それらの特徴を定量的に表した特徴量を計算していくと、その楽曲がどのような特徴を持っているのか、数値で把握できるようになります。一方、人間がある状況の時にどんな楽曲を聴くと心地よい、あるいは不快と感じるのかは、アンケート調査などによって統計的に分析していくことができます。これらの情報をAI(人工知能)に組み込むなどすると、人間の好みや気分に応じて最適な楽曲のプレイリストを自動生成することが可能になります。その場合、例えば失恋して落ち込んでいる人には、初めのうちはその悲しみにそっと寄り添うような音楽を提案し、それから段階的に少しずつ、励ましたり、前向きになろうと促したりする音楽を提案するアルゴリズムを組み込むことも考えられます。
人間の感性を知り、人々を幸せにしたい
人間の感性は非常に複雑で、一人ひとり異なります。また、何かのきっかけでころっと好みが変わったり、ちょっとしたきっかけで好きになったりする場合もあります。人間は、精巧なメカニズムを備えた生き物であるということでもあります。感性工学・感性情報学は、そうした個性を持った人間の心を分析し、感性をさらに広げ、人生を後押ししていけるような仕組みを作るための研究でもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都産業大学 情報理工学部 情報理工学科 教授 荻野 晃大 先生
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