「うまく言葉にしよう」と意識するほど、いい考えは出てこない
幼児期はできるのに徐々に苦手になることって?
クラスでの話し合いで、自分の考えが出てこなかったり、まとまらなかったりして、結局何も言えなかったという経験はありませんか。幼稚園の子どもを観察していると、「このオモチャ貸して! だって△△だから!」と、自分の考えをシンプルに口にしています。ところが年齢が上がるにつれ、「自分が言いたいこと」を言葉にするのが苦手な人が増えていきます。
考えをうまく言葉にできない若者が多い原因として、「こんなことを言うと笑われるかも」といった、思春期特有の照れや羞恥心が挙げられます。また、学校教育のあり方によって、「正解を示さなければいけない」と生徒たちが思い込んでしまっているとも考えられます。
いずれ必要になる「自分の意見を伝える」スキル
「教育方法学」では、自分の考えを伝えるスキルを育てるために、教師は何を・どうすればよいのかを研究します。
大学生になれば、レポートを作る機会が多くなる上、テーマに基づく議論を中心にしている講義もあります。社会に出れば、会議やプレゼンテーションなど、自分の意見を文章化しなければならない場面はさらに増えるでしょう。自分の意見を持ち、それを的確に人に伝えるためのスキルは、誰にとっても必要なのです。
自分の考えの「種」を掘り出す習慣をつける
あなたが自分の考えを言葉にするのが苦手だと感じているのなら、「うまく言葉にしよう」などと考えず、まず発想を広げてみることが必要です。また発想を広げるためには、ほかの人の考えを聞くことも大切です。ただし、「◯◯さんが言っているから私も同じです」と同調してしまうと、それは◯◯さんの意見であって、あなたの意見とは見なされません。賛同するにしても、なぜ賛成なのか、別の考え方はないのかを考えることで、新しいアイデアが浮かぶことがあります。
いずれにせよ「そもそも、自分はどうしてそういう考えを持っているのか」という、自分の考えの「種」を掘り出す習慣を身につけることが自分の意見を言葉にするための第一歩なのです。
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先生情報 / 大学情報
広島修道大学 人文学部 教育学科 教授 西森 章子 先生
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