講義No.09248 教育

「うまく言葉にしよう」と意識するほど、いい考えは出てこない

「うまく言葉にしよう」と意識するほど、いい考えは出てこない

幼児期はできるのに徐々に苦手になることって?

クラスでの話し合いで、自分の考えが出てこなかったり、まとまらなかったりして、結局何も言えなかったという経験はありませんか。幼稚園の子どもを観察していると、「このオモチャ貸して! だって△△だから!」と、自分の考えをシンプルに口にしています。ところが年齢が上がるにつれ、「自分が言いたいこと」を言葉にするのが苦手な人が増えていきます。
考えをうまく言葉にできない若者が多い原因として、「こんなことを言うと笑われるかも」といった、思春期特有の照れや羞恥心が挙げられます。また、学校教育のあり方によって、「正解を示さなければいけない」と生徒たちが思い込んでしまっているとも考えられます。

いずれ必要になる「自分の意見を伝える」スキル

「教育方法学」では、自分の考えを伝えるスキルを育てるために、教師は何を・どうすればよいのかを研究します。
大学生になれば、レポートを作る機会が多くなる上、テーマに基づく議論を中心にしている講義もあります。社会に出れば、会議やプレゼンテーションなど、自分の意見を文章化しなければならない場面はさらに増えるでしょう。自分の意見を持ち、それを的確に人に伝えるためのスキルは、誰にとっても必要なのです。

自分の考えの「種」を掘り出す習慣をつける

あなたが自分の考えを言葉にするのが苦手だと感じているのなら、「うまく言葉にしよう」などと考えず、まず発想を広げてみることが必要です。また発想を広げるためには、ほかの人の考えを聞くことも大切です。ただし、「◯◯さんが言っているから私も同じです」と同調してしまうと、それは◯◯さんの意見であって、あなたの意見とは見なされません。賛同するにしても、なぜ賛成なのか、別の考え方はないのかを考えることで、新しいアイデアが浮かぶことがあります。
いずれにせよ「そもそも、自分はどうしてそういう考えを持っているのか」という、自分の考えの「種」を掘り出す習慣を身につけることが自分の意見を言葉にするための第一歩なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

広島修道大学 人文学部 教育学科 教授 西森 章子 先生

広島修道大学人文学部 教育学科 教授西森 章子 先生

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教育方法学、教育心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは、人の話を最後まで聞くほうですか? それとも、途中で口を挟んでしまうタイプですか?
もしあなたが、「人の学びを支援する職業」をめざしているのなら、特に「人の話を聞く面白み」に気づいてほしいと思います。それも、特定の友人ばかりではなく、あなたの親の世代や先生の世代など、自分とは異なる時代を生きてきた人たちと積極的に会話してみてください。自分が知らなかった情報や自分とは違う考えに出会うといった経験を積み重ねることで、あなた自身の考え方や意見の幅が、グッと広がるはずです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

広島修道大学に関心を持ったあなたは

広島修道大学での4年間、予測が難しい時代の中にあっても自ら未来を切り拓き新たな変革を生み出せる。そんな、しなやかな強さをもつレジリエントな人を育むための道がここにはあります。そして、その道の先には自由にキャリアを描ける多彩な選択肢があなたを待っています。
7学部13学科の幅広い学びのほか、異文化理解を深める海外留学プログラムや地域の課題解決にチャレンジするプログラムなど、国内外に広く挑戦の場を用意。皆さんが自身の適性・本質を見つめ、可能性を広げられるよう、教職員が全力で応援します。