自然を知れば、災害だって怖くない!?
自然の中に暮らす人間
人間の暮らしに必要な資源やエネルギー、食べ物や水、呼吸に必要な空気はすべて自然のものです。住居も、自然によって形作られた大地の上に建てられています。私たちの生活は、自然の上に成り立っているのです。
自然といえば美しい山や河川を思い浮かべますが、地震や火山、大雨で発生する土石流もすべて自然が引き起こす現象です。それらの人間にとっての災害は必ず起こるものですし、一方でこのような自然の作用によって、現在の日本の美しい地形は形成されました。
自然に合わせて暮らす
とはいえ、一度災害が起これば、私たちの生活に大きな被害をもたらします。そして自然は、人間の都合でコントロールできるようなものでもありません。洪水や土石流が起こる地域は、昔から河川の氾濫がある場所や沢のあった場所で、人間は住まず田畑に利用してきたのです。しかし人口が増えれば、そうした場所にも住宅を建てることが必要になります。人びとはその土地の性質を知り、護岸工事や砂防ダムを造って防災対策を施しながら、自然に合わせて暮らしてきました。
上手に利用し、上手に避ける
自然はポジティブ、ネガティブの両方の面を持っています。例えば豪雪地帯で暮らすと、寒い中毎日雪かきに追われ、大変なことも多くあります。しかし、雪まつりなどのイベントで観光客や住民に喜んでもらえれば、雪にポジティブなイメージが生まれます。また、栃餅(とちもち)は栃の木の実から作るお餅で、各地で特産品になっていますが、この栃の木は、山崩れが発生するような場所に生えています。暮らしを脅かす災害地域にある栃の木が、土地の誇りというポジティブなものに変わるのです。
自然をうまく利用し、災害を避けるには、自然を知ることが必要です。価値と怖さとの両方を知ってこそ、上手に効率よく付き合えます。そして自然環境の安定が、人間の暮らしを安定させます。その安定こそが、その土地に持続的に住み続けるポイントなのです。
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先生情報 / 大学情報
金沢大学 人間社会学域 地域創造学類 准教授 青木 賢人 先生
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