食べ物が持つ「美容&健康パワー」を解明する
美肌には「魚の脂」が有効!?
「美肌につながる食事」というと、さまざまな食品や成分が考えられます。
約100人の女性の食生活を調べ、肌状態を計測した数値との相関性を調べました。彼女たちが5日間、朝昼晩に食べたものや重量などをすべて記録し、そのデータをコンピュータで解析したのです。摂取した食品は40~50項目の栄養成分に分析され、その人がどんな成分をどれくらい摂取しているのかがわかります。同時に、その人の肌の水・油分量・水分蒸散量・キメなどを計測したところ、肌がきれいな人は「魚の脂」を多く摂取していることがわかってきました。魚の脂に含まれるEPAやDHAといった、不飽和脂肪酸のオメガ3系(n-3系)の成分と、美肌との相関性が解明されたのです。
冷え性には「ショウガ」が効くってホント?
また、ショウガに含まれる「ショウガオール」という成分は体温を上昇させる効果があると言われています。そこで、ショウガを含むお菓子を作ったり、ショウガを発酵させたりしたものを、実際に摂取して身体への影響を検証しました。体温を認知できるビデオカメラや血管幅の拡張が測れる機器を使って調べると、発酵させたショウガは身体を温める効果がより高いことが解明されました。さらに、その有効性を向上させるため、ほかの食品との組み合わせを調べたところ、牛乳などのタンパク質と一緒に摂取すると、持続性が高まることが実証されました。
客観的な科学的根拠に基づいて判断する
このように、美容や健康などとの関連性を検証し、有効性を客観的な数値で評価していくことが科学です。中でもヒトでの評価は難しく、評価方法を確立していくだけで2~3年かかる場合もあります。
食品には、さまざまな未知の成分があり、その有効性がまだ解明されていないものがたくさんあります。それらを明らかにしていく研究の成果は、企業の商品開発などにとっても価値があり、ひいては社会への貢献にもつながっていくものとなるのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸女学院大学 生命環境学部 生命環境学科(2025年4月開設) 教授 高岡 素子 先生
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