地球の生態系の中心的役割を持つプランクトン
縁の下の力持ち
地球の表面積の約7割を占める広大な海洋には、魚類やエビなどの甲殻類のほか、多様な生物が生息しています。生き方の特徴を大きく分類すると「水中で生活する生物」と「海底で生活する生物」に分けられます。この中でプランクトンは、「水中で生活し、遊泳力を持たないか、あっても非常に弱く、ゆっくりとしか泳げない生物」に該当します。大きさの定義はなく、目に見えないバクテリアから40mを超えるクラゲまで幅広い生物が含まれます。また、プランクトンには、海洋の食物連鎖の起点にあたり光合成により自らの体を作る植物プランクトンやそれらを食する植食性の動物プランクトン、さらに動物プランクトンを食べる動物プランクトンもいます。これら以外にもバクテリアやウイルスなども生態系の中で重要な役目を担っています。種類・数ともに多いプランクトンは、海洋はもちろん地球の生態系を支える縁の下の力持ちなのです。
あらゆる海洋生物へ影響
体長数mmの動物プランクトンは通常数カ月から約1年で一生を終えます。研究では、各海域で各時期にプランクトンがどのように生息しているのかを調べ、さまざまな解明に役立てています。例えば、静岡県の駿河湾はサクラエビが名産として知られています。近年は不漁に悩まされていることから、海中でエビを撮影して体長や数、産卵の状態などを観察し、原因分析のための情報が収集されています。こうしたエビの生息にも餌であるプランクトンの生態が影響するため、研究は重要な意味を持っています。
海の神秘を教えてくれる
多種が存在するプランクトンですが、さらに新たな種類が発見されています。2014年には、ジャワ島沖のインド洋で、長年食用として漁獲されていたクラゲが形態などから新種として確認され、「アオヘルメットクラゲ」と命名されました。新種は同じ科のクラゲでは48年ぶりのことです。こうした発見は、地球上には未知の生物がまだ数多く生息するという可能性を示しています。そんな海が持つ神秘をプランクトンが教えてくれるのです。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 海洋学部 海洋生物学科 教授 西川 淳 先生
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