細くてまっすぐで便利な光、レーザー光が開く未来
人造宝石を使うレーザー技術
レーザーは、人造のルビーやサファイアなどの結晶に、電気や光などのエネルギーを加えることで、細くてまっすぐに伝わる単一の波長の光を発生させる装置です。1960年に米国でルビー結晶を用いたレーザー装置が発明されたのがレーザーの研究開発の始まりでした。今では、CDやDVDのプレーヤー、会議用のポインター、舞台での演出装置など、私たちの身の回りのさまざまなものにレーザーが用いられています。
気象観測から治療まで
最近では、電波を使うレーダー装置の代わりに、レーザーを使って対象物の位置や形状を計測する「LiDAR(ライダー)」という装置が注目され、車の自動運転や、豪雨予想など気象の観測に用いられています。高出力のレーザーを操作して金属や木材を加工できるレーザーカッターは、多くの産業に使われています。医療の分野では、歯の治療に用いるほか、内臓や血管の壁をレーザーで部分的に焼いて除去するといった活用法もあります。
近年のレーザー関連技術の発展はめざましく、瞬間(10⁻¹³秒程度)であれば、瞬間的に1兆ワットという高出力のレーザー光を発振できるまでになりました。このような高出力レーザー光を用いると、プラズマの制御や異なる波長の光の発生などが可能になり、LSI(大規模集積回路)の露光など、ナノテクノロジーの分野にも使われています。
これからのレーザー研究の課題
レーザー装置の製作は、かつてはほぼ手作りでしたが、今ではゼロから設計して作れる学生さんはそれほど多くいません。レーザー装置を作れるようになるには時間もコストもかかります。また、高出力で大型の装置になればなるほど、発生する熱をいかにして除去するかが課題になり、データを取るのにも時間がかかります。コンピュータによるシミュレーションなどを活用しながら、そうした課題を効率的に解決していくことがなお一層求められています。
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先生情報 / 大学情報
宇都宮大学 工学部 基盤工学科 情報電子オプティクスコース 教授 東口 武史 先生
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