なぜ日本には多様な都市が生まれにくいのか

なぜ日本には多様な都市が生まれにくいのか

東京一極集中の長所と短所

日本はあらゆるものが東京に一極集中し、経済成長を遂げて来ました。どの国も都市を中心に発展してはいますが、ひとつの都市にこれだけ集中しているのは世界的に見ても珍しいです。日本と国土のサイズがさほど変わらないヨーロッパ諸国でも、いくつかの都市が個性的・多極的に成長しています。経済活動が限定された箇所に集まると、クリエイティブな活動が盛んになり、生産効率も上がるというメリットがあります。しかしながら、一極集中が行き過ぎると、さまざまな面で都市と地方の格差が広がります。実際、日本は地方の高齢化が顕著で、良質な医療や教育サービスをどう提供するかが課題となっています。

地方は権限も財源も不足

東京に一極集中した理由のひとつは、地方が国への依存度が高く、独立性が低かったからです。最も対照的なアメリカは、各州が国に近い独立性を持ち、結果的に都市間の競争を生んでいます。同じことを日本の都道府県でやろうとしても、アメリカの州に比べると行政的権限が小さく、財源も乏しいため、まとまった規模の独自の経済活動を追求しづらいのです。以前から日本をいくつかのブロックに分ける「道州制」も考えられていますが、中核都市とほかの地域の格差や、どう分けるかといった問題がクリアできず、何度となく立ち消えになっています。いずれにしても、東京とは異なる個性を持つ都市が育つことが期待できず、従って若者たちは結局東京の方が自己実現しやすいとみなすため、多極化は難しいのです。

働き方の多様化が地方にもたらすもの

個人のワーク・ライフ・バランスの考え方が根付き、グローバリゼーションやICTが進んだことで、同じ場所に出社して同じ時間働くという形は変わってきました。本社機能や研究開発部門を東京から地方に移すなど、業務を分散化させる会社も増えています。理想はそうした企業をコアにクリエイティブな活動を広げ、多様な都市を育てていくことです。さもないと東京と地方の格差が広がるだけでなく、日本全体の経済力も落ちるばかりです。

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先生情報 / 大学情報

上智大学 経済学部 経済学科 教授 近藤 広紀 先生

上智大学 経済学部 経済学科 教授 近藤 広紀 先生

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都市・地域経済学、公共経済学

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メッセージ

欧米ではどこに住むかが自己実現のため重要だと言われています。そのため自分に何か才能があると感じたときのフットワークは軽く、家族も連れて違う街に移り住みます。これに対して、日本人は住む場所や働く場所をあまり変えようとしない傾向があります。しかし、近い将来、欧米のような働き方になり、さまざまな都市に移り住むことになるかもしれません。今から地方の経済や、働き方に関する本に触れる習慣を付けておくと、自分の将来を考えるのに役立つことでしょう。

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日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。