ルービックキューブは何回でクリア可能? 有限な動きを求める数学
「神の数」は20回?
色がバラバラになったルービックキューブをそろった状態に戻すには、最低何回動かせばいいでしょうか? 最短で解くための「神の数」を探そうと世界中の人々が挑戦しました。ルービックキューブは1つの面だけを同じ方向に90度回すと、4回目でブロックがもとの場所に戻ります。こうした有限の動きと動かされる対象物の組み合わせは「有限群」と呼ばれており、それぞれの動きは正方形に数が並んだ「行列」で表現され、数学者たちがコンピュータで計算した結果、どれだけ複雑な状態でも最大20回で戻すことができるという、神の数が明らかになりました。
違うようで同じ動き
有限群を計算すると、一見すると違う動きも同じ本質を持っている、とわかる場合があります。「パックマン」のような、閉鎖空間を移動するゲームを思い浮かべてみましょう。キャラクターの操作には通常、上下左右が割り当てられた4種類のボタンを使います。
縦2マス×横3マスのマップがあるとします。ボタンが4種類ある場合、「動かない」という選択肢を含めると6回の操作で全マスに移動できます。一方、「上に1マス、右に1マス動く」ボタンが1つだけあるときはどうでしょうか。先と同じマップで、マップの外に出た場合でもマップの反対側の同じ場所から戻ってきて移動し続けるとすると、このボタンが1つだけあるときも、6回の操作で全マスに移動することが可能です。つまり、4つボタンと1つボタンの2つの動きの集合は本質的に同じと評価します。
抽象的な概念に形を与える数学
有限群を数式や行列で表して本質を探るように、数学では抽象的な概念に実態を与えるための研究が行われています。例えば「数字」はとても抽象的で、決まった色や形などを持っていません。そのため「今回はこの概念をこう定義します」といった公理が必要になります。公理自体が矛盾なく正しいのか改めて証明するためには、コンピュータを用いた大規模な解析が必要な場合もあります。
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山形大学 理学部 理学科 データサイエンスコースカリキュラム 教授 脇 克志 先生
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