日本語学と国語科教育学をつなぐ
日本語の運用になくてはならない漢字
日本人が小学生のときから漢字を学ぶのはなぜでしょうか? すべてかな書きにすれば、大量の漢字を覚える労力を省けるはずです。しかし、漢字がないと、どこで文節が切れているかわからないうえに、「相対」と「総体」のような同音異義語の区別もつかず、大変不便です。日本語の運用に漢字はもはや不可欠なものとなっているのです。このように、「日本語学」では日本語がどのように用いられているのかをよく観察し、そこにどのような意味があるのかを考えていきます。日本語学には音声、音韻、表記、情報処理、方言、日本語教育など幅広い分野があります。もちろん、古典の言葉も研究対象です。
社会で役立つ言語運用能力とは
国が定めた教育課程の基準である学習指導要領には、中学校国語科の目標の一つに「社会生活に必要な国語について、その特質を理解し適切に使うことができるようにする」とあります。「社会生活に必要な国語」とは何でしょうか。「適切に使うことができる」力の育成のために、どのような教材でどんな授業を行えばよいでしょうか。これらの疑問をひもとき、効果的な指導方法を考えていくのが「国語科教育学」です。
日本語学と国語科教育学は、それぞれ別のものとして考えられることが多かったのですが、どちらも言語の運用に関する学問です。社会生活に必要な言語運用能力を効果的に育成するためには、日本語学と国語科教育学をつなぐ視点を持つことが重要なのです。
日本語学と国語科教育学をつなぐ視点
あなたが文章を書くときに推敲しますね。推敲のときには言葉選びや前後のつながりなどに気を使うでしょう。そのとき用いているのは、文法に関わるどんな能力なのでしょう、またその文法を使いこなす力を育成するにはどんな指導が必要なのでしょう。このような視点を持つことで、日本語学と国語科教育学をつないでいくことができます。そして、これらの課題がよりはっきり解き明かされていくと、将来の国語の授業の様子ももっと変わっていくはずです。
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先生情報 / 大学情報
専修大学 国際コミュニケーション学部 日本語学科 教授 山下 直 先生
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