都市のエネルギーに着目し、その源泉を探る「都市社会学」

都市のエネルギーに着目し、その源泉を探る「都市社会学」

社会学の手法で「都市」にフォーカス

社会学とは、人間の行動の「社会的要因」を探る学問です。私たちが自分の意思で行動していると思っていることでも、実はかなりの程度、「社会的要因」によって規定されています。目覚めの1杯にオレンジジュースを選ぶか、ウーロン茶を選ぶかについても、その時の社会的要因、例えば「健康志向」とか「季節感」などのトレンドに規定されていることは少なくありません。自分の意思に基づくとばかり思っていた行動を、社会学によって客観的にとらえることができれば、その行動をよりよく変えることもできます。これと同じ考え方で、「都市」を研究するのが「都市社会学」です。

「古着の聖地」を探る

例えば、かつて東京の高円寺という街には数百軒の古着屋さんがあり、「古着の聖地」として有名になりました。今でも古着店は多いのですが、ほとんどが個人経営の小さな店です。なぜ、この地に小さな古着屋さんが集まったのでしょうか? 各店には固有の理由もありますが、社会学の手法で調査・研究を進めると、個人の事情を超えた「社会的要因」が浮かび上がってきます。具体的には、都心に近く利便性が高いこと、その割に地価が比較的安く安定していること、ライブハウスがあり音楽愛好家でにぎわっていたことなどが挙げられます。さらに大きな視点で見れば、東西の冷戦が終結したことで、「古着市場」が世界的に流動化し、活性化した影響もあることがわかってきました。

都市のエネルギーは共有財産

さまざまな「社会的要因」が相互に影響しあって生まれた「古着の聖地」ですが、これは「都市」という空間があったからこそ生まれたこともわかってきます。「都市」とは、さまざまな人やモノ、情報が凝集したエネルギッシュな空間であり、個性豊かな小規模店もそのエネルギーに導かれて集まったといえるでしょう。
そのエネルギー自体がそこに住むすべての人の共有財産でもあります。そうとらえると、そのエネルギーを人類のために活用する方法が見えてくるでしょう。

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玉川大学 リベラルアーツ学部 リベラルアーツ学科 准教授 下村 恭広 先生

玉川大学 リベラルアーツ学部 リベラルアーツ学科 准教授 下村 恭広 先生

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都市社会学

メッセージ

高校生のときに見える景色はそれほど広くはありません。ですから、物事を見る際、「損得」だけで考えないでください。例えば、進学先を考えるとき、就職率のよい学部を選ぶとか、収入が多くなりそうな道を選ぶとか、そういった「損得」ではなく、自分にとって「面白いか、そうでないか」という視点で、もっと貪欲に、もっと贅沢に探し求めてください。
大学とは、損得抜きで、面白いと思ったことを追究できる場です。そこでの出会いが、想像もしていなかった方向に、人生を導いてくれることも少なくないのです。

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―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。