ジェンダーの影響も! 異文化コミュニケーションのポイントとは
語学力だけでは外国人と交流できない!
「外国語を上手に話せるようになりたい」と願う人は多いですが、外国人と交流するのに語学力よりも大切なのが「異文化コミュニケーション」の能力です。価値観や常識といったものは、文化や宗教、これまで育ってきた環境によっても異なります。それを踏まえて、相手の立場に立って物事を考えられるか、接することができるかどうかが、コミュニケーションの根幹を成す最も大切なポイントです。
言葉と社会の関わりを研究する社会言語学
異文化コミュニケーションの能力は外国の人と実際に接する中で理解し、育まれます。島国の日本では異文化との交流の機会は多くありませんが、近年は日本に住む外国人が増加傾向にあり、多文化社会になりつつあります。相手の視点や考え方、価値観を知ったうえでお互いを理解しようとする意識は、日本人同士の交流においても役立ちます。そのため言葉と社会の関わりを研究する「社会言語学」では、どうすれば人々が異文化コミュニケーションの理解を深められるか、教育方法などの研究が進められています。
字幕や翻訳におけるジェンダーバイアス
言葉にはジェンダーの影響が表れることもあります。例えば、外国の映画で女性の俳優が話す言葉に「~かしら」や「~だわ」といった字幕が付けられていたりします。また、外国人が日本語を学ぶ教科書で、女性の笑い方を「ふふふ」と訳してあったりもします。これらは伝統的な日本社会で重んじられてきた男らしさや女らしさに基づく表現で、日常会話で使う人は少ないのが実情です。しかし字幕や翻訳文では今もなおジェンダーバイアスが刷り込まれた状態で使われています。
このような日本語に触れた外国人が日本人とコミュニケーションを取るときには、学んだ内容と現実との違いに戸惑うこともあるでしょう。教科書やメディアに潜むジェンダーバイアスが言語習得においてどのような影響を与えているかも、社会言語学が取り扱う重要な研究テーマの一つです。
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同志社女子大学 表象文化学部 英語英文学科 准教授 﨑 ミチ・アン 先生
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