勉強が苦手な子どもの可能性を開く! ICT教育の先にある未来
テクノロジーを活用した個別最適化学習
ICT(情報通信技術)教育の一環として、タブレットなどで取り組むデジタルドリルが学校でも使われ始めています。間違え方に応じて別の問題をおすすめする通称「AI型ドリル教材」は、学術的には「ITS(知的学習支援システム)」といいます。例えば算数で、1/3+1/2のような異分母分数の計算には「通分」が必要で、「公倍数」の理解が必要です。公倍数の理解には「倍数」を、倍数には「かけ算」を理解しなくてはなりません。30~40人を一斉に教える授業では対応が難しかった部分をテクノロジーの力とAI技術の応用で補うことで、個別最適化した学びを可能にします。
「勉強が苦手だから」と諦めない
ITSの導入により、誰もが自分に応じて能力を伸ばせるようになれば、全体の学力の底上げができます。「自分もできた」という体験は、勉強が苦手な子どもの学習意欲を育むことにもつながります。勉強ができないという理由で将来を諦めることなく、みんなが100点を取って自分の可能性を広げていけるのが理想です。
コンピュータ支援教育(CAI)は、1980年代頃からITSと呼ばれるようになりましたが、高性能のパソコンやネットワークが普及した2000年代からさらに性能があがりました。その後、ビッグデータを活用したいわゆるAI型ドリル教材といった教材も登場してきました。従来の紙のドリルと置き換えた場合の教育効果の検証などがこれからの課題です。
ITS活用を促進する上での課題
小学校の児童を対象に、AI型ドリル教材を使用する前後のテストで教育効果を検証したところ、全体的な正答率のアップが認められました。しかし理解度別の誤答分析では、AI型ドリル教材が間違いに応じてより基礎的な問題を出しても、理解度が低いグループでは正答につながらない傾向がわかりました。では、そこを人の力でどう支援したら伸ばしていけるのでしょうか。こうした「人の支援が必要な部分」を見つけることも、今後のITS活用のカギとなるでしょう。
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姫路大学 教育学部 こども未来学科 講師 津下 哲也 先生
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