幼児教育・保育のあり方を、保育者が受けてきた教育から考える
昔と今では歌や絵本も異なる
あなたは幼児のころ、どんな歌や絵本に親しんで育ちましたか?
実は、今の子どもが触れる歌や絵本は、昔とは変化しています。「ぞうさん」や「ゆうやけこやけ」といった童謡は、その情景がイメージできる昔からある歌ですが、今はそうした歌は減り、愛や平和などをテーマにした歌が増えています。絵本も、昔は物語的な内容が多かったのですが、今は「触ってみる」という体験型や、「そのままの自分でいいんだよ」というテーマの絵本が人気です。悲しい結末の昔ばなしは、ハッピーエンドに変えている絵本もたくさんあります。
時代の流れもありますが、子どもに与える歌や絵本といった児童文化においても、保育者の保育観が大きく影響しています。
時間を要する教育改革
歴史を振り返っても、国の教育方針が変わったからといって、すぐに教育現場が変わるわけではありません。現場に浸透するには、ある程度の時間がかかります。その要因は、保育者がどういう教育を受けたか、保育者としてどんな経験をしてきたかといったライフストーリーが、実践に大きく影響するためです。保育者は常に、研修やほかの園の子どもたちの様子を見てみるなど、自分の保育を振り返ることが大切です。保育者としての自分の取り組みを考えるきっかけが必要なのです。
振り返り考え、実践する
教育観の変化や家庭における価値観の変化など、今の子どもたちを取り巻く環境は複雑化しています。「これまでこうだったから」「こう学んだから」といった、自分の経験や価値観だけで対応することができません。「子どもたちのために最適なことは何か」を常に振り返って考え、実践できる力が求められます。保育者の研修を整えることも必要となるでしょう。
子どもは大人が思うよりも、いろいろなことを考えて、実現する力をもっています。保育者は子どもに寄り添い、子どもの思いを理解して、柔軟に対応することが大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 教授 田甫 綾野 先生
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