「寝る子は育つ」って本当? より良い保育をデータから導き出す
子どもにとって良い生活習慣とは
一般的に「早寝・早起き・朝ごはんを心がけよう」などと言われますが、早寝・早起きとは一体何時を指すのか、具体的にどのようなメリットがあるのかという情報は浸透していない現状があります。幼児期には、夜の連続した10時間程度の睡眠時間が必要で、夜9時までには就寝し、朝7時ごろまでには起床するのが理想的です。しかし日本の子どもたちの平均睡眠時間は9時間20~40分程度と短いのです。子どもたちの生活習慣が日中の行動や成長ホルモンの分泌にも影響を及ぼすことから、睡眠不足による運動量の減少や学習能力の低下が懸念されています。
より良い保育のあり方を探り、構築する
社会の変化や技術の発達とともに、子どもたちを取り巻く環境も変化しています。例えば、2020年の初めごろから新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、感染拡大防止の観点から外出が制限されました。その結果、家族と関わる時間が増える一方で、運動量が減ってしまったというデータがあります。このような環境の変化が、子どもの運動能力や感情面の発育にどのような影響を与えるかという研究も進んでいます。
ある「習慣」が子どもの成長にとって最適かどうかは、多面的に判断しなくてはなりません。さまざまなデータを集約し、良い事例をもとに、全国の保護者、保育士らが実践することで、より良い家庭生活や保育プログラムの展開が期待されます。
データ分析から子どもの成長基盤を作る
「保育」と聞くと、保育園や幼稚園で園児たちと直接関わりながら、生活の援助や遊び、教育を実践するイメージが強いかもしれません。しかし、より子どもたちの状況にあった保育を展開するには、データをもとに客観的な分析を行うことも大切です。
幼児期の生活習慣は、その後の子どもたちの「未来」を築く土台となるものです。データ分析による研究は、子どもにとって適切な保育方法や現状に不足している要素を明らかにし、子どもたちの健やかな成長を促すための重要な役割を担っているのです。
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京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 こども教育学科 教授 石井 浩子 先生
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