講義No.11656 児童学

「寝る子は育つ」って本当? より良い保育をデータから導き出す

「寝る子は育つ」って本当? より良い保育をデータから導き出す

子どもにとって良い生活習慣とは

一般的に「早寝・早起き・朝ごはんを心がけよう」などと言われますが、早寝・早起きとは一体何時を指すのか、具体的にどのようなメリットがあるのかという情報は浸透していない現状があります。幼児期には、夜の連続した10時間程度の睡眠時間が必要で、夜9時までには就寝し、朝7時ごろまでには起床するのが理想的です。しかし日本の子どもたちの平均睡眠時間は9時間20~40分程度と短いのです。子どもたちの生活習慣が日中の行動や成長ホルモンの分泌にも影響を及ぼすことから、睡眠不足による運動量の減少や学習能力の低下が懸念されています。

より良い保育のあり方を探り、構築する

社会の変化や技術の発達とともに、子どもたちを取り巻く環境も変化しています。例えば、2020年の初めごろから新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、感染拡大防止の観点から外出が制限されました。その結果、家族と関わる時間が増える一方で、運動量が減ってしまったというデータがあります。このような環境の変化が、子どもの運動能力や感情面の発育にどのような影響を与えるかという研究も進んでいます。
ある「習慣」が子どもの成長にとって最適かどうかは、多面的に判断しなくてはなりません。さまざまなデータを集約し、良い事例をもとに、全国の保護者、保育士らが実践することで、より良い家庭生活や保育プログラムの展開が期待されます。

データ分析から子どもの成長基盤を作る

「保育」と聞くと、保育園や幼稚園で園児たちと直接関わりながら、生活の援助や遊び、教育を実践するイメージが強いかもしれません。しかし、より子どもたちの状況にあった保育を展開するには、データをもとに客観的な分析を行うことも大切です。
幼児期の生活習慣は、その後の子どもたちの「未来」を築く土台となるものです。データ分析による研究は、子どもにとって適切な保育方法や現状に不足している要素を明らかにし、子どもたちの健やかな成長を促すための重要な役割を担っているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 こども教育学科 教授 石井 浩子 先生

京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 こども教育学科 教授 石井 浩子 先生

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保育学、幼児教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

規則正しい生活習慣は、子どもたちの健やかな成長を促す根幹となる要素です。私の研究では、保育園・認定こども園や保護者から集めたデータをもとに、子どもたちの生活習慣の実態や生活面の課題を明らかにしています。研究結果は、実際に家庭や保育園などの保育の現場で活用されています。
街中で目にする子どもの動きに注目してみてください。一人ひとりの姿は異なるはずです。その違いには生活習慣も影響しています。子どもたちが健康で、いきいきとした暮らしが実現できるように、あなたも子どもたちの生活について探究してみませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

京都ノートルダム女子大学に関心を持ったあなたは

京都ノートルダム⼥⼦⼤学は、「わたしらしく、誇らしく」をモットーに、「コミュニケーション」「対話」に焦点を当てたカリキュラムで、社会に貢献できる知性と品性を併せ持つしなやかな⼥性を育成します。
2025年4⽉には新たに「女性キャリアデザイン学環」を開設予定です。国際、文化、英語、日本語、生活環境、福祉、心理、こども、教育、情報といった、本学の学問分野を環状に学び、多⽂化理解、対話⼒、企画⼒、プレゼンテーション⼒、情報活⽤⼒などを総合的に⾝につける新しい学修スタイルを提供します。