朝食欠食、過度なダイエットが与える月経や妊娠への影響とは
朝食と生殖機能の関係
朝食を抜くことの悪影響はさまざまに指摘されていますが、特に18~25歳前後の女性には、生殖機能にも影響が及ぶことがわかってきました。人間や動物は地球の自転に合わせた体内時計をもっており、少しずつ発生する自転とのズレを日々リセットしています。こうした機能は脳だけでなく体内のあらゆる臓器において遺伝子レベルで制御されていますが、朝食を抜くことで生殖臓器の体内時計のリセット機能が不調をきたすと、それが生殖機能にとって重要なサインとなる月経周期の乱れや強い月経痛(生理痛)を引き起こすことが明らかになってきたのです。
過度なダイエットの影響
日本は先進国の中でも痩身願望が突出して高く、若い女性だけでなく妊婦の中にも体重やBMI値(肥満や低体重の判定に用いる体格指数)が低すぎる人が多く見られます。しかし、過度なダイエットによって空腹が続くストレスも、朝食を抜くことと同様に、生殖機能に影響を及ぼします。ある調査では、過去にダイエット経験がある人ほど、月経不順を経験したり、強い月経痛を抱えたりしている傾向があるという結果が出ています。月経不順や強い月経痛を抱えることは、女性のQOL(生活の質)の低下につながります。また、不妊の原因はさまざまですが、その背景のひとつに、こうした食生活を原因とした生殖機能への影響があると考えられるのです。
広がりをみせる研究
この研究は、ダイエットや朝食を抜くことで月経痛が強くなる女子大学生が多くいることがわかったことからスタートしています。家政学や食生活学といった観点から食生活と月経痛(生殖機能の不調)についてアンケート調査が行われ、その相関関係がより明確になりました。さらに医学や遺伝子学といった分野の視点から、マウスやラットを使った検証実験もスタートしています。食生活や月経痛といった身近なテーマが、学問分野を超えたつながりを生み、社会にとって有用な研究へと発展する好例といえるでしょう。
参考資料
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京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科 教授 藤原 智子 先生
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