幼い子どもとデジタルの、ビミョーな関係に切り込んでみよう

幼い子どもとデジタルの、ビミョーな関係に切り込んでみよう

幼い子どもとデジタルメディア

今やデジタルメディアは、家庭の中に急速に入り込んでいます。それとともに、乳幼児がスマートフォンで動画を視聴したり、ゲームで遊んだりといった光景も見受けられるようになりました。研究の進んだ海外では、生後18カ月未満の子どもにはデジタルメディアは、教育的メリットはないとされています。そのため、例えば離れて暮らす家族と交流できるテレビ電話はいいが、それ以外はなるべくやめるようにと、研究者から提言されています。一方、北欧やイギリス、オーストラリアなど、いくつかの国では、幼稚園でデジタルやIT機器をどう扱い、触れさせればいいかについての研究報告もあります。

デジタル機器との望ましい出会いとは

日本では長らく、幼い子どもはデジタル機器に触れさせるべきではないという考え方でした。生まれて初めてデジタル機器に接する「出会い方」は大切です。本来なら教育の現場で、学習や表現のためのツールとして初めて触れるのが理想ですが、そうはいきません。場合によっては「デジタル=娯楽」や、何か我慢した後のごほうび的なものという認識がなされる可能性があります。そうではなく、はさみやクレヨンと同等に、自分の道具の一つとしてデジタル機器があると認識されるのが望ましいでしょう。

環境整備に必要な大人たちの協力

参加型のデジタル絵本というアプリがあります。発育段階に応じた内容で、例えば自分の声を吹きこんだり、写真を撮ったり、レイアウトを考えたりできます。読むだけでなく「絵本を作る」発想で、創造性を育む目的で作られています。このような、デジタル機器の有効的な使い方を目標に、より良いあり方を提言し、さらに保育の現場に広める必要があります。
大人たちは幼児教育や幼児の発達を理解したうえで、何が子どもの発育により良い影響を与えるかを考えることが大切です。研究者と保護者、保育の現場、メーカーの人々といった、デジタルメディアに関わる大人たちと連携して、慎重に、幼児教育の中のデジタル環境を整えていくべきなのです。

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先生情報 / 大学情報

愛知淑徳大学 人間情報学部 人間情報学科 教授 佐藤 朝美 先生

愛知淑徳大学 人間情報学部 人間情報学科 教授 佐藤 朝美 先生

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教育工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「教育工学」というジャンルは、大きく2つに分かれます。自分で何かを作って評価する分野と、すでに存在するデジタルなどを用いて、活動をデザインしそれを評価する分野です。教育工学で、幼児教育を対象とした分野は、日本ではまだ歴史が浅く研究者も少数です。
私は大学まで文系で、就職後に専門的な内容をマスターし、システムエンジニアとして働きました。人間に関することに文系も理系もありません。情報をめぐる諸領域を流動的に研究でき、大変面白くてやりがいのある分野です。興味があるなら、ぜひ一緒に学びましょう。

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