人と情報とをつなぐ「何か」が、変わっていく
情報利用は図書館からインターネットへ
インターネットが普及する前、人は調べたいことがあると図書館を利用したりして情報を得ていました。しかし、今はインターネット検索でほとんど解決できたりもします。インターネットの世界には、図書館を超える大量の情報があるからです。こうした時代に、図書館が果たす役割を考える必要があります。同時に、そもそも人と情報はどのように関わっているのかという、もっと本質的な部分を見直す必要もあります。
人と情報との関わり
図書館情報学の分野で、人と情報とが関わる行為全般についての研究を「情報行動」といいます。ここでいう情報とは、調べて検索して得られたコトだけでなく、見聞きしたコトや体験したコトも情報ととらえます。例えば就職活動に際して、学生たちは学校にある資料を見たりインターネットで検索したり、企業の人の話を聞くなど、あらゆる方法と手段で情報を取得します。そうやって得た情報を元に就職活動を行い、そこで判断して行動するのです。こうした情報と人との関わりにはさまざまな問題もあります。その一つが、自ら情報を十分に手に入れることができる人がいる一方で、有益な情報を取れない、またはあることすら知らない人がいるという情報格差の問題です。この情報格差は、インターネットの普及でますます広がっています。
図書館の役割が変わるか
米国には「エンベディッド・ライブラリアン」(embedded librarians)といって、図書館の司書が利用者の活動する場に滞在し、情報サービスを提供するという仕組みがあります。その場で利用者のニーズを直接的に知り、有益な情報を伝えるのです。さらに今、米国の公共図書館で広まりつつあるのが、貧困に苦しむ人やLGBTQなどのコミュニティと関わり、社会生活に必要な情報を伝え、支援する動きです。課題はまだ多いものの、情報と人との関わりというところから、図書館の役割に変化が生まれつつあります。将来、日本の図書館も同様に、役割が変わっていくかもしれません。
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