ドローンで遺跡を空撮してわかってきたこととは?
デジタルアーカイブの可能性を広げるドローン
ドローンのカメラを使って空から撮影する技術は、資料をデジタル化してデータベース化する「デジタルアーカイブ」の分野でも注目を集めています。
例えば遺跡や特徴的な自然景観などの写真を残す場合、基本的には地上から人の目線や特定の場所からの撮影が行われてきました。空撮をするためにはヘリコプターを飛ばすなど大がかりな準備と予算が必要だったからです。ドローンが普及したおかげで、手軽に低コストで、しかも必要な角度からの空撮ができるようになりました。
空から遺跡を撮影
空撮をすると、地上からではわからなかった情報が入手できます。
岐阜県関市にある塚原遺跡でドローンを活用したデジタルアーカイブを行いました。遺跡を地上から撮影すると、古墳時代後期の横穴式石室の古墳が散在していることがわかります。同じ場所を空撮すると、古墳が全て同じ方角を向いていることがわかりました。古墳時代前期の前方後円墳の多くは様々な方角を向いているため、この時期の固有の特徴だといえます。
ドローンで上空から広範囲を撮影したことで、古墳時代の全体を通して、古墳造営の意図などに変化が生じていることがわかってきたのです。
文化財の観察・復元にも貢献
空撮の利点は、遺跡全体や自然景観など、周辺の様子まで含めた情報を1枚の画像に収められることです。また、天守閣など大規模な建造物の外観など、簡単に撮影ができなかった角度のデータも集めやすくなります。情報をデジタル化して残すことで、将来の研究や活用に役立てられます。
また、デジタルアーカイブは文化財の復元にも役立つと考えられます。例えば、沖縄の首里城は2019年に多くの建物が焼失しました。しかし火災以前に首里城の建物や資料のデジタルアーカイブ化が行われていたため、復元の手がかりになっています。
城や遺跡に限らず多くの場所でデジタルアーカイブを充実させるために、ドローンの効果分析や撮影できる場所の拡張、新たに活用できる分野などの開拓が進められています。
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先生情報 / 大学情報
岐阜女子大学 文化創造学部 文化創造学科 准教授 熊﨑 康文 先生
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