ユニバーサルデザイン 生活者であるすべての人のために

ユニバーサルデザイン 生活者であるすべての人のために

白内障の人の視界を忠実に再現するゴーグル

65歳以上では、7~8割の人が白内障だといわれており、見えにくさの程度に個人差はあるものの、「ガスの炎が見えにくい」「靴下の微妙な色の違いがわからず間違った組み合わせで履いてしまう」など生活にさまざまな支障が生じていることが、白内障を経験した人への調査から明らかにされています。
これをもとに開発された「白内障疑似体験ゴーグル」は、ユニバーサルデザインを考える企業や研究機関で広く活用されています。このように、困っている人の立場に立ち、その状況をリアルに知ることが、ユニバーサルデザインの第一歩です。

不便を抱える人の工夫はあらゆる人に役立つ

とはいえ、ユニバーサルデザインは、高齢者や何らかの障害のある人だけを対象としたものではありません。健常者でも、コンタクトレンズをなくしたらモノを見るのが難しくなることがあります。ヘッドホンをしていて周りの音が聞こえにくくなったり、けがをして一時的に歩行が困難になったりすることもあるでしょう。視覚や聴覚や四肢に障害のある人が、どんな不便を感じていて、どんな工夫をしているのかを知ることは、誰にとっても役立つ可能性があります。だからこそ、多様な人にリサーチして、その人たちから学ぶことが重要なのです。

生活者の視点で発想する

自分や身近な人以外にもさまざまな人に目を向けると、世界は大きく広がります。多角的な視点を持ち、相手の立場で考えることは、あらゆるものづくりやサービスを提案するうえでベースになるものです。
中でもユニバーサルデザインで大切なのは、「生活者の視点」を持つことです。どんな特性があっても、誰もが生活者であることに変わりはありません。自分自身も一人の生活者として発想することが、多くの人の役に立つモノやサービスを生み出すことにつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

静岡文化芸術大学 デザイン学部 デザイン学科 教授 小浜 朋子 先生

静岡文化芸術大学デザイン学部 デザイン学科 教授小浜 朋子 先生

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ユニバーサルデザイン論

先生が目指すSDGs

メッセージ

身近な家族や友人は、もしかするとあなたが気づいていない不便さやもどかしさを抱えているかもしれません。また、あなた自身にも、気づいてほしいのにわかってもらえないことがあるかもしれません。私の授業では、日常生活の中から見えていなかった大切なことに気づき、それを手がかりに、インクルーシブな社会で生きるために必要なことを学びます。この学びは、教育や行政など多方面に活かせます。多様な特性を持つ人が互いを尊重し、各々が気持ちよく、豊かな気持ちで生活できる視点を養ってほしいです。

静岡文化芸術大学に関心を持ったあなたは

静岡文化芸術大学は、文化政策学部、デザイン学部からなる大学です。「文化」と「デザイン」の融合が新しい価値の創造を可能にするという理念のもと、時代の要請に応えられる創造性と実践力を持った人材を育成します。社会に貢献できる人材の育成を目標に各領域を段階的に学び、多方面から物事にアプローチできる力を養う教育を目指しています。
キャンパスは静岡県浜松市の中心市街地に位置します。多彩な産業を擁する地域特性を活かし、企業や公共機関での実習を積極的に取り入れ、学内だけでは得られない貴重な経験を生み出します。