ユニバーサルデザイン 生活者であるすべての人のために

白内障の人の視界を忠実に再現するゴーグル
65歳以上では、7~8割の人が白内障だといわれており、見えにくさの程度に個人差はあるものの、「ガスの炎が見えにくい」「靴下の微妙な色の違いがわからず間違った組み合わせで履いてしまう」など生活にさまざまな支障が生じていることが、白内障を経験した人への調査から明らかにされています。
これをもとに開発された「白内障疑似体験ゴーグル」は、ユニバーサルデザインを考える企業や研究機関で広く活用されています。このように、困っている人の立場に立ち、その状況をリアルに知ることが、ユニバーサルデザインの第一歩です。
不便を抱える人の工夫はあらゆる人に役立つ
とはいえ、ユニバーサルデザインは、高齢者や何らかの障害のある人だけを対象としたものではありません。健常者でも、コンタクトレンズをなくしたらモノを見るのが難しくなることがあります。ヘッドホンをしていて周りの音が聞こえにくくなったり、けがをして一時的に歩行が困難になったりすることもあるでしょう。視覚や聴覚や四肢に障害のある人が、どんな不便を感じていて、どんな工夫をしているのかを知ることは、誰にとっても役立つ可能性があります。だからこそ、多様な人にリサーチして、その人たちから学ぶことが重要なのです。
生活者の視点で発想する
自分や身近な人以外にもさまざまな人に目を向けると、世界は大きく広がります。多角的な視点を持ち、相手の立場で考えることは、あらゆるものづくりやサービスを提案するうえでベースになるものです。
中でもユニバーサルデザインで大切なのは、「生活者の視点」を持つことです。どんな特性があっても、誰もが生活者であることに変わりはありません。自分自身も一人の生活者として発想することが、多くの人の役に立つモノやサービスを生み出すことにつながるのです。
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