20秒でOK? 解明が進む「高強度ストレッチ」の有用性

20秒でOK? 解明が進む「高強度ストレッチ」の有用性

日本は高強度ストレッチの先駆者

スポーツ医科学の発展とともに、トレーニング方法も移ろってきました。例えば、以前は是とされていたうさぎ跳びや水分補給の極端な制限も、リスクや効率性の悪さが明白となり、現在、取り入れている例は多くありません。そして、その流れはストレッチにも波及し始めています。中でも世界的な注目を浴びつつあるのが、若干の痛みをともなう「高強度ストレッチ」です。世界中を見渡しても痛みをともなうストレッチの論文はわずかであり、その大半が日本の研究チームによるもので、この分野のパイオニアとしての役割も担っています。

3分から20秒に大幅な時短

従来、痛みをともなうストレッチはけがなどの危険性が高いとされてきましたが、実はそこに絶対的な根拠はありません。日本の研究チームはこの点に着目し、学生を中心としたのべ200人以上を対象に、さまざまな角度条件のもと、ハムストリングの高強度ストレッチを実施し、データを集計しました。痛みを感じない状態を100%とした場合、120%の負荷をかけたストレッチをすることで、大幅な時短と高効率化するという事実が明らかになりました。従来3分間で効果が得られるとされていたものが、実に9分の1に相当する20秒間で得られたのです。そして腱や筋肉の柔軟性、持続性といった面でもそれ以上の効果を測定しました。さらに、実施した学生にけがや痛みの残る症状を訴えた人がいなかったことで、安全面でもリスクがないことが同時に実証されています。

将来はストレッチの有効な選択肢へ

これは健康な学生でのデータであり、高齢者層や低年齢層でどのような結果が出るのか、またけがから復帰したばかりという状況でも有効なのかは、引き続きの検証が必要です。それでも導き出された数値と取り入れやすさから、この高強度ストレッチが近い将来、スポーツ現場での有効な選択肢の一つになる可能性は高いです。ストレッチの在り方を変えるブレイクスルーにもなり得るのです。

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神戸国際大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 講師 武内 孝祐 先生

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メッセージ

部活動などのスポーツに取り組んでいる場合、「強くなろう」「競技力を高めよう」と、トレーニングで体を酷使する機会が多いと思います。もちろんトレーニングも大事なのですが、それと同じくらいリカバリーやコンディショニングによる体のメンテナンスや調整も重要です。
体が疲労を蓄えていると、いいトレーニングができません。集中力も続きませんし、習得具合も落ち、けがにもつながります。厳しい練習とともに、自分の体と向き合うことも上達には欠かせない要素になります。

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