最先端の運動療法が生活習慣病を予防する
スポーツ生理学の考えを基にした健康科学
「スポーツ生理学」とは、運動による体内の変化を解き明かす学問です。高齢化が急速に進む現代、生活習慣病の予防や健康づくりの話題が多く取りあげられていますが、その課題解決にも大きな役割を果たすのがこの分野です。どういった運動が、健康増進や病気の予防・改善を促すのかについても議論が交わされています。
運動は何よりの薬である
「有酸素運動は20分以上やらないと脂肪燃焼効果がない」という説を耳にしたことがあるかもしれません。しかし研究の結果、トータルの時間が同じであれば、連続した運動でも小分けにした運動でも効果はほとんど変わらないことが判明しています。また以前は「高血圧や腎臓疾患のある人に運動はよくない」という風潮もありましたが、これも現在は一転し、運動した方が予防や改善につながることが明らかにされています。このように詳細な分析をすることで生活習慣病の予防法や改善方法の認識も変わってきました。「アメリカスポーツ医学会」でも「運動は薬である」と提唱しています。どんな運動をどのくらい行うことで健康につながるのかという研究は、世界中の多くの研究者によって行われています。
体内時計と生活習慣病の関係
人間の体には朝になったら目覚める、夜になったら眠くなるなどの体内時計が存在し、これらは主に脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部位から発現される時計遺伝子によってコントロールされています。この体内時計により人間は体調を整えていますが、この体内時計が乱れることにより高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症・増悪させることが判明しています。
現代社会では、夜でも煌々(こうこう)と電気がついていたり、就寝直前までスマートフォンを使用していたり、夜勤の仕事があったりで体内時計の乱れも問題視されています。そのような生活を強いられる現代人にとって、体内時計を整えるための効果的な運動療法についても現在研究が進められています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
福岡大学 スポーツ科学部 教授 道下 竜馬 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
スポーツ生理学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?