格差や貧困を改善しよう! でも、なかなか進展しない背景とは
あなたは貧しいですか?
もし「貧困家庭ですか」と聞かれたら、あなたはどう答えますか。そもそも、貧困を意識したことのない人が大半でしょう。日本は外から貧困が見えにくく、意識もされにくい社会です。しかし世界では、むしろ貧困が見えやすい社会もあります。例えばブラジルでは、路上で物を乞う人たちをよく見かけます。また、「自分はどのくらいの層にいるか」と自分の社会階層に自覚的です。日本を含め、格差社会であることは理解していても、貧困の解決のために具体的なアクションを起こす人はなかなかいません。なぜでしょうか?
貧困をどう考えているか
例えば、あなたの目の前に物乞いする人がいるとします。それが海外での場面なら、裕福な日本から来た自分が助けてあげるべきだと考える人が多いでしょう。しかしそれが日本での場面だと、少し変わってきます。大人の貧困は自己責任で、こちらに助ける義務などないと「自分を正当化する」人が増えてくるのです。学歴を使った正当化もあります。今の自分の豊かな生活は努力して良い学校を卒業したからで、収入は正当な対価である、反対に収入が低いのは頑張っていないからで、助ける必要はないというものです。全員に平等なチャンスが与えられていたならそう言えるかもしれませんが、そんなことはあり得ません。物乞いに対して「本当はそれほど困窮していないのでは」と貧困そのものを否定する人や、貧困は仕方がないと受け入れる人もいます。このように、実際に支援を行うにはいろいろな壁があります。
格差を減らさなければならない理由
世界の貧困の原因には宗教や人種差別、教育格差、男女の地位の違いがあり、都市部と農村部で事情が逆転するなど、数々の問題と背景が絡み合っています。ひとたび感染症が流行すると重症化率や死亡率が高いなど、不利益を被るのは貧困層です。貧困層の増加は社会保障費を増大させ、莫大な税金が使われることになります。貧困層が抱える困難は、社会全体の困難でもあります。格差や貧困を改善することが、社会の安定につながるのです。
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神田外語大学 外国語学部 イベロアメリカ言語学科 ブラジル・ポルトガル専攻 教授 奥田 若菜 先生
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