建築=謎解き? 課題を見つけ、形にして解決に導く「デザイン」
デザインとは、「問題解決」
デザイン=「かっこいい」「おしゃれ」というイメージが一般的ですが、そもそもdesign(デザイン)は、直訳すると「問題解決」という意味です。建築家には、建物を設計することだけでなく、問題点を良い方向へ転換していく「問題解決能力」が求められます。
建物を単体で考えるのではなく、それを取り巻く環境も含めてデザインすることが大切です。建築デザインとは、環境学、生活環境学、地域環境学の観点から、使う人とその周辺を取り巻く環境との関係性(つながり)をデザインすることでもあるのです。
地域のコミュニティづくりを担う
1900年代の中頃、市町村など各地域にマスターアーキテクトとよばれる建築家がいて、都市計画のマスタープランを作り、行政と一緒に今後の進むべき街の方向性を考えていました。今は都心部が飽和状態になり、インフラの発達やコロナ禍の影響で、地方にコミュニティやアクティビティを求める時代になりました。現在の建築家は、「地域」にコミットして、街づくりにおける課題を解決する役割が求められています。現地に足を運び、そこに暮らすさまざまな人と対話しながら、新たな生活の営みや環境を一緒に考える取り組みが、各地で進められています。
課題を見つけて形に落とし込む
例えば、閉店した百貨店を、地域のコミュニティスペースとしてリノベーションしたケースでは、設計に入る前までに1年かかっています。地域が抱える空き家や少子高齢化問題に対して、建物を作って終わりではなく、引き渡し後に自走する仕組みづくりが時間をかけて行われているのです。
コミュニティづくりを考える学問はいくつかありますが、そこで見つかった人と人との関係性や地域に眠っているポテンシャルなど、形のないものを目に見える形にできるのは建築ならではです。謎解きのように、現実の課題をひも解いて、空間に落とし込んでいくことで、より豊かで長く愛される生活環境を創り出すことが出来るのです。
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先生情報 / 大学情報
広島女学院大学 人間生活学部 生活デザイン学科 准教授 鍵山 昌信 先生
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