病院経営に欠かせない医療事務の仕事って?
マネジメントの視点で病院を見る
医療に関する仕事の一つに「医療事務」があります。医師や看護師は治療に専念する職ですが、医療事務とは病院全体のマネジメントを考え、財政面を管理する仕事であり、病院の経営には欠かせません。医師や看護師が行った診療行為を収入にかえたり、医薬品や医療器具を購入したりすることも医療事務職の役割です。その仕事をひとことで表すなら、「病院全体のヒト・モノ・カネの流れを把握して、組織としてひとつの目標に向かうべくマネジメントする職」と言えるでしょう。
地域における病院の役割を対外的に発信
あなたの住んでいる地域にも、個人の開業医から大規模な総合病院まで、さまざまな種類の病院があるでしょう。地域に複数存在する病院の役割を、わかりやすく対外的にPRすることも医療事務の仕事のひとつです。具体的な例を挙げると、あるエリアの中に1軒だけ、年間に行う心臓血管の手術の件数が飛び抜けて多い病院がありました。手術とは職人の世界と同じなので、経験を積めば積むほど技術が上達します。つまり、この病院は他院と比較して、優れた心臓血管手術の技術を持っている可能性が高いのです。「心臓血管手術に強い」という情報は地域住民にとって非常に有益ですが、病院側が意識的に発信をしないとなかなか外部には伝わりません。地域におけるそれぞれの病院の役割を把握して、積極的な情報発信を行うことも医療事務職が担う大切な役割です。
医療と情報技術に精通したスペシャリスト
2003年からDPC(診断群分類包括評価)という、1日の入院医療費を効率的に算出する制度が実施されています。この制度を利用するには、病院側が入院している患者数や手術件数を国にデータとして提出する必要があります。今後、病院内のデータが電子化されるにつれ、医療と情報技術の知識を持った専門人材が必要になってくるでしょう。その重要な役目を担うのが、これからの時代の医療事務という仕事なのです。
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福知山公立大学 地域経営学部 医療福祉経営学科 准教授 星 雅丈 先生
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