医療情報の共有・連携がこれからの医療を救う
病院の活動のすべてにかかわる「医療情報」
「病院」が行っていることといえば「診療」ですが、医師・看護師などメジャーな職種だけで行うのは不可能です。薬剤師やリハビリなどの医療専門職、さらにそれらを支える事務職がいてはじめて、病院は役割を果たせます。これらのさまざまな職種は、患者さんの情報のやりとりによって診療を行っています。また病院が医療・介護・福祉の情報を地域の病院とやりとりすることで、地域の人々は安心して老後を過ごせます。このような情報の共有・連携を専門とするのが「医療情報」という分野です。患者さんのカルテ情報、レントゲン写真など画像データ、介護の進捗情報、あるいはお金の情報など、病院の活動のすべてにかかわる情報を体系化したものが、医療情報といえます。
後れている病院の情報化
医療は大きく「急性期」「慢性期」に分かれますが、高齢者などに長期的な治療をおこなう慢性期の病院では、医療情報の整理が後れています。慢性期の病院こそ、介護や福祉との連携が必須であり、医療情報がより必要であるはずです。また、「心臓病ならあそこが得意らしいよ」といった口コミや噂で人々が病院探しに右往左往している現実があります。地域の中で各病院が得意な治療分野などの情報を共有できれば、患者さんも病院も無駄な時間を費やさなくてすみます。この病院の情報化や情報共有は、まだ研究の余地があります。
事務職こそ求められる医療情報の活用
医療専門職は各分野の内容に通じていますが、病院全体を俯瞰(ふかん)するのは難しいです。実際に医療情報をもとに、経営判断や他者と共有・連携を図ることができるのは事務職です。なぜなら、現場への物品の調達、医療保険制度の厳しい審査にかなう医療費の計算、職種間の情報連携などで、病院の全体像を常に知りうるのは事務職しかいないからです。
今はまだ眠っている各病院の情報を整理し、介護、福祉と互いに必要な情報を明らかにし連携して、地域全体で最適化していくことが、これから求められる医療の形だといえるでしょう。
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福知山公立大学 地域経営学部 医療福祉経営学科 准教授 星 雅丈 先生
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