好きな仕事で「燃え尽きない」ためにできること
もともとは対人援助職の職業病だった
試合などで力を使い果たしたスポーツ選手が「燃えつきた・バーンアウトした」という表現を使うことがありますが、もともとは看護師や介護士といった対人援助職の職業病です。熱心だったはずの仕事が急に嫌になる状態で、情緒的消耗感、「気疲れ」した状態が兆候です。放っておくと「脱人格化」が起こり、目の前の人をぞんざいに扱うようになります。また達成感が減退し、仕事へのやりがいも失います。対人援助職なのに人を拒絶し、事務作業に没頭してしまうこともあります。
どんな人がバーンアウトになりやすいのか
教師もバーンアウトに陥りやすい職業です。とりわけ日本には自分の時間を割き、部活の指導を行うなど職務に献身的な教師が多く、その結果、心身を疲労させ、休職する人が後を絶ちません。昔から人のために身を削ることは素晴らしい美徳とされていますが、バーンアウトという観点からするとあまり好ましくないのです。個人的特徴から言えば、その職業に憧れが強く、理想を抱いている人ほどバーンアウトしやすいです。理想と現実のギャップに落胆し、あるいはその職業にふさわしい人格になろうと頑張り過ぎるからです。
モードを切り替えてセルフケア
もし自分にバーンアウトの兆候を感じたら、とにかく人に相談することです。誰かに胸の内にある思いをシェアするだけでも、精神的疲労を軽減することができます。また、一人でできるセルフケアは、モードの切り替えです。医療従事者はオペや夜勤の後、カラオケで発散するなどして、精神的な疲れを捨ててから帰宅する人もいます。同じように、コメディ映画を見て大笑いする、運動で汗を流すなど、仕事と違うことに没頭すれば効果的にケアできます。仕事と別の役割を持つことも一つの方法で、例えば子どもがいる「親」という役割があると帰宅後に家事や育児があるため、自然とモードが切り替わります。実際、複数の役割を持った人はバーンアウトになりにくいという研究結果もあります。
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大正大学 臨床心理学部 臨床心理学科 准教授 小堀 彩子 先生
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