足指を鍛えて、加齢に負けないバランス能力をゲット!

人間の足指の力は弱くなっている
電車の中でつり革を持たずに立っていて、電車がガクンと揺れると、ふらついて思わずよろけてしまいます。グっと地面に踏ん張れないのは足指の筋力が弱いからかもしれません。手の握力と同じように足指にもモノをにぎる握力があり、これが瞬発力や体のバランスに大きく関わっていることがわかってきました。人間と同じ5本指のサルは足指の握力がとても強く、細い木の枝でも、グっとつかんでひょいひょいと渡り歩けます。しかし、靴をはく生活に慣れた人間は、地面をつかむ働きを靴に頼るようになったため、足指の力が弱くなっているのです。
柔道や剣道の選手は足指筋力が強い?
これまで足指の握力は測定できなかったのですが、現在は100kgまで測ることができる足指筋力測定器が開発されています。これでさまざまなスポーツ選手を計測したところ、柔道や剣道の選手の足指筋力が強いとのデータが得られました。彼らは裸足で畳をつかむように動くため、足指が鍛えられているのかもしれません。また、野球やゴルフのスイングにも足指の力は重要な役割があり、強く地面をつかんで踏ん張ることで、バックスイングの強力な「タメ」が得られると考えられます。
狙いを定めて足の筋肉を鍛える
また、足指の力は体のバランスをとることにも大きく影響しています。足を動かさずに揃えてまっすぐ立ち、前のめりに手を伸ばすと、足指に力が入り縮こまるのがわかりますが、高齢者はあまり前方に手を伸ばせずすぐにつんのめってしまいます。これが歩行時のよろけなどにつながるため、足指や、そのまわりの筋肉をトレーニングで鍛えることが転倒予防につながります。特に年をとると、足の甲から足首へ続く2本の筋肉のうち外側の筋力が低下するためにバランスを崩しやすいのです。スポーツやリハビリの世界では、そのような「動きのポイント」となる筋肉(ターゲット・マッスル)に狙いを定めた効率的なトレーニングが注目されています。
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畿央大学 健康科学部 理学療法学科 准教授 福本 貴彦 先生
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