街の風景と未来を変える「ホテル」について考えてみよう!
ホテルの経営者に必要な3つの視点
あなたがホテルのオーナーとなって経営に携わるとしたら、経営者としては、次の3つの視点に基づいて方針を決める必要があります。「ホテル業界の市場の状況」と「経営資源であるそのホテルの内部状況」、そして「経営者自身の決断力」です。このように、独自の基準で自社の戦略的方向性を決める考え方を「戦略的志向性(ストラテジー・オリエンテーション)」と呼びます。
刻々と変化する日本のホテル事情
日本ではかつて、経営者としてホテルを所有していると、それ自体が社会的にとても自慢できるという認識がありました。しかし近年、日本でも不況が続き、経営状態の思わしくないホテルでは、それ自体の資産的価値が大きく下落している例も少なくありません。最近では、外資系のホテルグループなどが、そうした国内のホテルを投資対象として買収する動きが目立っています。例えば、かつて10億円の価値があった経営難のホテルを1億円ほどで買収し、外資系ホテルのブランド力と高品質のサービスで短期間のうちに経営状況を回復させ、再び資産としての価値を高めた段階で転売する、という事例も出てきているのです。
また日本では、ホテル以外にも、旅館という独特の宿泊施設が存在します。この旅館も、近年では経営難のところが少なくありません。しかし、旅館だからこそ体験できる日本特有の文化資産としての価値をアピールすることで、状況の打破を試みている例も出てきています。
地域とともに存在するためのホテル経営
ホテルの存在は、時としてその街の風景さえも変える、シンボル的な存在になります。利用可能な土地の少ない都市では行政との対話による調整は不可欠ですし、自然豊かなリゾート地では、いかにして環境への悪影響を抑えながらホテルを経営するかを考えなければなりません。自分たちのことだけを考えたビジネス手法ではなく、その地域の未来のビジョンも見据えた上で経営戦略を立てることが、ホテルの経営者には求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 経済学部 観光経営学科 准教授 金 振晩 先生
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