講義No.13151 経営学・商学 経営情報学 理工系その他

フードサービス事業に重要なのは、顧客と事業側の感性

フードサービス事業に重要なのは、顧客と事業側の感性

飲食の需要を考えた事業計画

進化を続けるフードサービス事業について、「事業性」「感性事業としての価値」などの研究が行われています。
事業性とは、飲食の需要を推定し、ベストな事業計画を作ることです。売上同様に、顧客満足度も考えなくてはなりません。例えばテーマパークの場合、昼はアトラクションを楽しむためにファーストフード店、夜は家族が食事を楽しむためのレストランが必要です。また顧客の目に触れないよう、地下やバックヤードに食材の搬入やゴミ出し経路を設けるなど、施設の設計そのものの計画も考えられています。

感性のバランス点を知る

「感性事業としての価値」とは、顧客の感性と事業者の感性を複合的に考えた事業の価値のことをいいます。ある研究で東京都内のオフィスビルにある55の社員食堂を調査し、その結果、提供数が1,000~1,500食になると、すしやそばなどに注文が偏り「食の専門化」が起こります。また、1,500食以上になると客席が増えて調理場が狭くなるため、調理済みの食材が多く使われることがわかりました。これらは顧客と事業者で作り上げた感性のバランス点で、社会や時代と共に変わっていき、事業計画や設計に大きな影響を及ぼします。
一方で、従業員の感性も重要です。従業員はプレゼンティズム(心身不調の中での勤務)の際に生産性が低下します。プレゼンティズムになりやすいのは洗い場や包丁を扱う現場が多いこともわかっています。事業者は従業員の感性を常に測り、健康経営を行うことが大切です。

地方創生にも一役

人は食事をするとき、いつ誰とどこで食べるのかでおいしさや楽しさの感性が変わります。現在はSNSでこうした情報がシェアされるようになり、顧客の感性は多様化しています。事業者はその変化への対応が求められます。
食の感性事業は地方創生事業にも重要で、単に食材に名称を付けてブランド化するのではなく、地域の特色や文化を感性として価値化することで、永続性や象徴性が担保され、より多くの地域の魅力の発信につながります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 ビジネスコース 教授 金子 孝一 先生

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 ビジネスコース 教授 金子 孝一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

感性工学、経営情報学、経営学、商学

先生が目指すSDGs

メッセージ

昨今の高校生は総合学習などで地域社会について学ぶことが多く、中には地域おこし・地域活性に興味がある人もいることでしょう。地域おこし等に重要なコンテンツのひとつは「食」です。「食」のコンテンツには、食材そのものの魅力に加え、地域の人たちの感性や地域の文化、すなわちそこで暮らす人の思いや地域の魅力と感じるものを落とし込むことが重要です。あなたの故郷の食のコンテンツを作るなら、どんな魅力のあるコンテンツを創りましょうか。観光にも重要な要素です。興味があるなら、ぜひ食について大学で学びを深めてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

新潟食料農業大学に関心を持ったあなたは

“Farm to Table to Farm”は「農場から食卓へ、そして農場へ」という意味です。食物は、農場で生産されてから多くの人の手を経て食卓に届けられ、この流れを「フードチェーン」とよび、農場から人々の食卓まで、フードチェーン全体をつかさどる産業を食料産業とよんでいます。本学では、新しい食料産業を作り出すために不可欠な科学(サイエンス)、技術(テクノロジー)、経済活動(ビジネス)を一体的に身につけます。日本の農業を変え、さらに世界をリードする新しい食料産業をともに生み出していきましょう。