講義No.11864 機械工学

あなたが使うスマホにも! 金属加工の必需品「マイクロドリル」

あなたが使うスマホにも! 金属加工の必需品「マイクロドリル」

マイクロドリルは普通のドリルと何が違う?

工具のドリルといえば、らせん状の溝がある細長い棒の形をしていて、その先端に刃が付いています。一般的なドリルの直径は大小様々ありますが、その中でも0.7mm以下のとても細いドリルは「マイクロドリル」と呼ばれています。金属に小さな穴を開ける加工をする際に用いられ、スマートフォンの中にある、小さなパーツの型枠を作るときにも必ず使われるなど、小さいながらも重要な工具です。

いつ折れるかわからない

金属加工の必需品であるマイクロドリルは、使っていくうちに摩耗して、折れてしまう工具です。しかも高価なので、製造現場では無駄なく使いきれることが望まれています。しかし、実は今のところ、マイクロドリルの寿命はよくわかっていません。加工の条件が同じでも、寿命を迎えるタイミングにばらつきがあり、そのときの状況をパターン化して予測することが難しいためです。
そこで、マイクロドリルが折れるまでに何回穴を開けられるかという実験で、穴の数や、穴を開けるときに必要な力などのデータを集め、検証されています。その結果から、寿命の解明につながるパターンや数式を見いだすための研究が進められています。

ドリル寿命の解明で製造現場に貢献

マイクロドリルが使われている加工機械には、加工中にドリルが折れてしまったことを判別できない機械も多く存在しています。もし、マイクロドリルの寿命が解明されれば、寿命を迎えるタイミングで部品を交換し、無駄なく使えるようになります。それは、製造時のコストパフォーマンスを上げるだけでなく、いつの間にかマイクロドリルが折れ、加工中のものが不良品になってしまうなどの事故を未然に防ぐことにもなり、製造現場に役立てることができるはずです。
今後の研究では、ニューラルネットワーク(ディープラーニング)などのAI技術も利用し、集めた実験結果から関連付けて結果を出すといった方法も検討されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪産業大学 工学部 機械工学科 教授 澤井 猛 先生

大阪産業大学 工学部 機械工学科 教授 澤井 猛 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

切削加工学、精密加工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

機械工学科はモノづくりの学科だと言われています。将来、機械工学を学びたいと思っているなら、今のうちに、まずは物理学を勉強・経験しておくといいです。機械工学では、モノが壊れたり変形したりする現象を物理学の数式を使って表すことが多いからです。
そのため、どういうふうにモノを扱ったら、状態がどう変わっていくのかということを、実際に手を動かして経験してほしいです。体験を積み重ねていくことで、モノの変化を想像し、経験から得た知識を応用しながら実習することができます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪産業大学に関心を持ったあなたは

大阪産業大学機械工学科は、なんで機械工学科に入学したの?と学生に尋ねると、「モノづくりに興味があったから!」と多くの学生が答えてくれる、楽しそうな・面白そうな雰囲気のあるところです。
機械工学の基礎である「力学」の教育に重点を置く一方で、今後成長の見込める医療・福祉・健康といったヘルスケア分野や、ロボット工学、宇宙工学といった先進的な領域も取り入れた授業も用意されています。創造的で発想力のある感性豊かなエンジニアの育成を教員一丸となって取り組んでいます。