健康長寿は過去のもの? 沖縄の健康が危ない
深刻な沖縄の健康問題
沖縄といえば、温暖な気候に恵まれ、独特の文化を持つイメージがあることでしょう。100歳以上の高齢者が多い長寿の地としても知られています。
しかし近年、沖縄の人々の健康は危機に瀕しています。男性の平均寿命は、1990年にそれまでの1位から5位となり、2000年には全国平均以下の26位まで落ち込みました。心臓疾患や脳卒中といった生活習慣病も急激に増加しています。なぜ、このような事態になったのでしょうか。
食の欧米化が引き金に
沖縄の長寿は、ゴーヤやナーベラ(へちま)、ハンダマ(水前寺菜)、ボタンボウフウ(長命草)など伝統的な野菜、昆布、モズクなどの海藻、島豆腐、ゆでて脂肪分を除いた豚肉などを使う、健康的な食事によるところが大きいと考えられます。それが第2次世界大戦後、アメリカの軍の統治下で肉中心の欧米式の食生活が一気に入ってきました。高カロリー・高塩分のポーク缶詰やハンバーガー、揚げ物などが好まれるようになったのです。ファストフード店は、東京にハンバーガーショップができるより7年も早く、1963年に沖縄にオープンしています。健康問題が特に深刻なのは、このような食の欧米化に浸った戦後生まれの人たちです。男性の46%、女性の26%が肥満で全国ワースト1位、さらに65歳未満の死亡率も、なんと沖縄がワースト1位なのです。
健康で年を重ねるために
近距離でも車移動が珍しくない沖縄では、運動不足も健康問題を加速させています。健康を取り戻すには、1日3食きちんと食事をして、適度な運動を実践するしかありません。今こそ、沖縄の伝統的な暮らしから、健康を守る英知を学び直すときにきています。
現状を打破しようと、地域と大学が連携し、栄養指導や運動講習を行う取り組みも始まっています。日本は世界有数の長寿国ですが、寝たきりの高齢者数も増加しています。心身ともに健康で年を重ねる取り組みは、沖縄だけではなく、日本の社会全体としても今後ますます重要になることでしょう。
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名桜大学 人間健康学部 スポーツ健康学科 教授 高瀬 幸一 先生
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