より精密に、より身近に! 超音波検査が秘める可能性

より精密に、より身近に! 超音波検査が秘める可能性

超音波は医療の現場でどう使われているのか?

超音波とは、人には聞こえないほど高い周波数の音のことをいいます。超音波の持つさまざまな性質は医療の現場でも生かされています。その1つが「治療」です。超音波を発生させると、振動が起きたり発熱したりします。これらの性質を利用して、細胞を活性化させたり、遺伝子導入に利用したりといった研究が行われ、骨折の治癒促進など一部の生体作用は実際に治療に使われています。また、超音波の出力を上げると生体組織の熱凝固などが生じるので、この性質ががん治療などに用いられることもあります。

安全・リアルタイムな診断が可能

超音波は体内の「検査」「診断」にも利用されています。超音波が臓器や組織の境界で反射する性質を使って、腹部や心臓、甲状腺などの状態をチェックします。妊婦のおなかを調べる超音波検査(エコー検査)はよく知られています。超音波検査はCT(コンピュータ断層撮影)検査などと違って放射線被曝の心配がないので、安心して体内の状態を見ることができます。また、1秒間に数十枚以上の画像を撮影できるので、血液の流れや心臓の拍動などをリアルタイムに確認できるのもメリットです。

超音波検査はますます進化する!

超音波検査自体は以前からあったものですが、より精度の高い診断が行えるよう現在もさまざまな研究や開発が進められています。例えば、臓器などの形状をより高精度に画像化し、血液の流れや組織の硬さなど多くの情報がわかるような機器の開発が進んでいます。また超音波検査を医療だけでなく福祉や健康増進のために活用しようという動きも出ています。体に当てるだけで血管や関節、脂肪などの状態を見られる機器があれば、家庭や職場で手軽に健康チェックができます。機能や性能を限定すれば、比較的安価で扱いやすい機器の開発も期待できます。現在は病院だけではなく、遠隔医療や介護施設での超音波検査機器の利用も進んでいます。超音波による検査は、ゆくゆくは血圧の測定くらい身近なものになっていくかもしれません。

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富山大学 工学部 知能情報工学コース 教授 長谷川 英之 先生

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メッセージ

これからの進路を考える中、「自分がやりたいのはこれだ!」と直球で見つけられる人はそう多くはないでしょう。そんな中でも何か興味があるものを見つけて取り組んでいけるような、頭が柔らかくエネルギーのある人が将来伸びていくと思います。そして興味を持ったら自分で情報を探しにいく行動力も大切です。
私たちの研究している医用超音波工学は、超音波で人間の体内を調べる身近でおもしろい学問です。アイデアがあればすぐに試せて、試行錯誤できる楽しさもあります。興味があるならぜひ一緒に学びましょう。

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