あなたが社長なら、会社の資金をどうやって調達する?
企業の資金調達の仕組み
企業が資金を調達する方法は、これまで主に「内部資金を使う」「金融機関から融資を受ける」「社債や株式を発行する」の3通りでした。ただし、これらはもともと資金に余裕があったり、金融機関から融資を受けられるだけの信用があったり、社債や株式を発行できる規模を持つ企業に有利なシステムです。起業して間もないベンチャー企業や中小企業にとっては大企業と比較してハードルが高いとされてきました。
クラウドファンディングの特徴
そこに近年、「クラウドファンディング」が新しい資金調達の方法として注目されています。クラウドファンディングは自分たちのアイデアや魅力などを発信し、その思いに共感した人たちから資金を集めるという方法で、インターネットの広がりとともに注目を集めています。企業の実績や信用よりも、「応援してほしい」という気持ちが届けば、広く社会から資金調達ができる仕組みです。資金を提供する側も、少額から参加できるためハードルが低く、社債や株式と比べると、資金の使いみちが具体的でわかりやすいのが特徴です。つまり、わかりやすく大人数の共感を得る必要があるとも言えます。
メリットとデメリットを見きわめて
クラウドファンディング以前の、従来の資金調達の方法にもそれぞれメリットとデメリットがあります。内部資金は返済の必要がない一方で、そもそもの資金がなければ成立しません。金融機関からの融資は、審査に通るだけの実績や周到な準備が必要で、利息の支払いも発生する一方で、金融機関の審査や監視が入ることで、経営のガバナンス(統治・管理)が働きます。日本では「無借金経営」が美徳とされる傾向にありますが、融資のない経営は外部の目が届きにくい点では、必ずしも良いとは言えないのです。株式の発行は、返済の必要はありませんが、株主からのプレッシャーや声が強くなるほど、経営の自由度が落ちてしまいます。企業はメリットとデメリットをよく検討し、資金調達の方法を選ぶ必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
静岡産業大学 経営学部 経営学科 准教授 太田 裕貴 先生
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