講義No.11977 文化・教養学

国によってまったく違う、「水虫」に対する印象と捉え方

国によってまったく違う、「水虫」に対する印象と捉え方

日本では「恥」でも、海外では違う?

水虫は、白癬(はくせん)菌というカビが原因で起こる皮膚病の一種です。世界中で見られる水虫ですが、その受け取られ方は、国や地域によってかなり異なります。
例えば日本では、自分が水虫であることを「恥」と考え、人に知られて嫌われることなどを恐れます。また、多くの人が水虫を「すぐには治らない病気」と考えています。一方、ほかの国々では、水虫は自慢するものでもないが「薬をつけたら治る」ため、恥意識と直結はしていません。

日本では、水虫はかかりやすく治りにくい

水虫は、足からはがれ落ちた皮膚にいる白癬菌が、床やスリッパなどを経由して別の人の足に付着し、靴下や靴を履いて通気性に乏しい状態で長時間経つと感染・発症します。日本では、明治以降生活様式の西洋化が始まり、都市部の社会的中上層から靴や靴下の着用が見られるようになりましたが、生活空間では屋内を土足で過ごす様式は受け入れられず、靴を脱いで床を共有する生活を続けました。もともとの湿潤な気候に加えて、靴と靴下の常用化、そして屋内での床の共有が、結果的に水虫が広まりやすく、再感染もしやすい状況を生み出したと考えられます。

米国では「アスリーツ・フット」

一方、例えば米国では、水虫のことを「アスリーツ・フット(Athlete's Foot)」と呼びます。スポーツ選手や運動する人々が更衣室やシャワールームなどで床の共有をすることによって感染する皮膚病という由来です。日常生活の大半が土足なこともあり、更衣室などでの床の共有を控えて薬を塗れば、アスリーツ・フットは治る病気とみなされていて、感染しても特に恥ずかしさと直結はしません。ほかにも、家屋の建築様式や、家族関係のあり方など、水虫に対する各国の受け止め方の差異には、さまざまな生活文化の違いが絡んでいます。

参考資料

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明治大学 国際日本学部 国際日本学科 准教授 眞嶋 亜有 先生

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比較文化論、表象文化論、学際的日本研究

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高校までの学びが「正解答」を見つけるものとするなら、大学での学びは「問い」を見つける旅の始まりといえるでしょう。日本とは何か、自分とは何か、人生とは何なのか。私たちの存在と不可分にある問いに「正解答」はあるでしょうか。「問い」の先にあるのは「正解答」ではなく、私たちが日本や世界、自己や他者をどう捉えるかという多角的視点の構築であり、それこそが、前にも後にも永遠に訪れることのない唯一無二の人生という旅を豊かにするのではないでしょうか。

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