講義No.11983 社会学

日本の食は外国人労働者に支えられている!?

日本の食は外国人労働者に支えられている!?

日本の食料を誰が作るのか

あなたが食べた野菜や魚は、どこの誰が手がけたものでしょうか? もしかすると生産者の中には、日本に働きに来た外国人労働者がいるかもしれません。少子高齢化が叫ばれて久しい日本では、労働力人口も減っています。特に農業や漁業といった一次産業や、食品加工業などの現場では人手は慢性的に不足しており、大部分を外国人の労働力に支えられているという状況もあります。

安い賃金頼みの現状

外国人労働者が日本に働きに来る理由は「母国よりも日本の賃金が高いから」です。また、日本人の労働力を確保できない業種では、安く働いてくれる労働者に頼ることになりますが、今後、アジア各国が経済成長すれば、同じ条件では働いてくれないでしょう。2000年ごろは、中国人労働者の姿を多く見かけました。しかし中国のGDPが高くなった今では、カンボジアやラオス、ベトナム、ミャンマー、タイなどの東南アジア出身の人々が多くなりました。もちろん現場の人手不足は解消しなければなりませんが、そういった不安定で、付け焼き刃的な対応をずっと続けていてよいのでしょうか。

移民を受け入れる準備はできているか

これまで外国人労働者は、入れ替わりをしながら一定期間での労働にやって来ていました。状況が変わったのはコロナ禍です。外国人の入国が制限されたため、対応策として「特定技能」という在留資格を持つ人たち、つまりすでに入国していた外国人たちの長期就労を認める策をとり、本格的な移民社会が動き出しています。
このように、同じ社会で暮らす準備をしないまま、状況に流されるような、なし崩しの形で外国人を受け入れていって、果たしてみんなが幸せになるのでしょうか? 思い出されるのはヨーロッパなどにおける移民の問題です。こうした問題解決の糸口は、社会学を通じて見いだされるはずです。

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常磐大学 人間科学部 現代社会学科 教授 北根 精美 先生

常磐大学 人間科学部 現代社会学科 教授 北根 精美 先生

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メッセージ

何か物事が起きたとき背後に何があるのか、本質は何かを、目を凝らしてよく見てほしいと思います。受けた印象や感情を抜きにして、データにきちんと目を配ることが大切です。例えば、手元に届いたニュースとデータをもとに、違いは何か、不足している情報は何か、くまなく見ることで初めてわかることがたくさんあります。
あなたが今、頭でわかっていると思う社会は、本当の社会の姿でしょうか。真実をつかむことを意識して毎日を送るようにしてみましょう。

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常磐大学は、茨城県水戸市に位置し、3学部9学科を擁した地方総合大学です。学園創立100余年の歴史と伝統を礎に、「実学を重んじ真摯な態度を身につけた人間を育てる」という建学の精神のもと、実学重視のカリキュラムを展開。地域に密着したリアルな学びで社会に貢献できる実践力を養います。
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