日本の食は外国人労働者に支えられている!?
日本の食料を誰が作るのか
あなたが食べた野菜や魚は、どこの誰が手がけたものでしょうか? もしかすると生産者の中には、日本に働きに来た外国人労働者がいるかもしれません。少子高齢化が叫ばれて久しい日本では、労働力人口も減っています。特に農業や漁業といった一次産業や、食品加工業などの現場では人手は慢性的に不足しており、大部分を外国人の労働力に支えられているという状況もあります。
安い賃金頼みの現状
外国人労働者が日本に働きに来る理由は「母国よりも日本の賃金が高いから」です。また、日本人の労働力を確保できない業種では、安く働いてくれる労働者に頼ることになりますが、今後、アジア各国が経済成長すれば、同じ条件では働いてくれないでしょう。2000年ごろは、中国人労働者の姿を多く見かけました。しかし中国のGDPが高くなった今では、カンボジアやラオス、ベトナム、ミャンマー、タイなどの東南アジア出身の人々が多くなりました。もちろん現場の人手不足は解消しなければなりませんが、そういった不安定で、付け焼き刃的な対応をずっと続けていてよいのでしょうか。
移民を受け入れる準備はできているか
これまで外国人労働者は、入れ替わりをしながら一定期間での労働にやって来ていました。状況が変わったのはコロナ禍です。外国人の入国が制限されたため、対応策として「特定技能」という在留資格を持つ人たち、つまりすでに入国していた外国人たちの長期就労を認める策をとり、本格的な移民社会が動き出しています。
このように、同じ社会で暮らす準備をしないまま、状況に流されるような、なし崩しの形で外国人を受け入れていって、果たしてみんなが幸せになるのでしょうか? 思い出されるのはヨーロッパなどにおける移民の問題です。こうした問題解決の糸口は、社会学を通じて見いだされるはずです。
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常磐大学 人間科学部 現代社会学科 教授 北根 精美 先生
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