「やさしい日本語」は外国人とのコミュニケーションツール
日本語未習得のまま来日する外国人
日本では、たくさんの外国人が暮らしています。農業が盛んな地域では技能実習生として、工業地帯では工場の労働者として働く人が多く、日本の農業や工業は外国人労働者なしでは成り立たない状況です。日本語が全く話せない人が家族を連れて来日するケースでは、生活面での支障や、地域になじめないなどの問題が出ています。今後も、外国人と接する可能性はますます増えていくでしょう。日本語が苦手な外国人に対して、どのように話せば円滑なコミュニケーションが取れるのでしょうか?
やさしい日本語
阪神・淡路大震災では、被害を受けた外国人の中で日本語が十分に理解できない人々が、避難などの情報を受け取れないという課題が浮き彫りになりました。この時の教訓から考え出されたのが「やさしい日本語」です。無意識に交わされる日本人同士の会話は、外国人には理解が難しいこともあるからです。「やさしい日本語」では、言いたいことは一文にひとつだけにして、回りくどい言い方は避けます。カタカナ語は原語と意味や発音が違う場合に混乱を招くので、できるだけ使わないように心掛けます。敬語は使わず、文末は「です」「ます」に統一します。
言葉が通じない相手に日本人がつい使ってしまうのがオノマトペと呼ばれる擬音語・擬態語です。「雨がパラパラ降る/ザーザー降る」という表現は、日本人なら雨の度合いが想像できますが、日本語を習得していない外国人には伝わりません。擬音語・擬態語を避けて表現するなど、外国人に伝わりやすい日本語を、あらかじめ日本人が学んでおく必要があるのです。
日本語教師の取り組み
今後、地域での多文化共生がさらに進んでいくと予想される中で、地域に住む外国人をどう支援していくかも重要なテーマです。外国人に日本語を教える日本語教師の養成も進んでいます。日本語教師は日本語未習得者にも日本語だけで教える技術を使って、さまざまな母語を持つ外国人への日本語教育に当たっています。
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常磐大学 人間科学部 コミュニケーション学科 准教授 飯野 令子 先生
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