デジタル世代の可能性と活躍が期待される、脳外科の世界
革新的な進歩を遂げる脳外科の治療
脳の手術と聞くと、医師が顕微鏡をのぞきながら、開頭手術を行っているところを思い浮かべませんか? 脳外科の分野はここ10~20年で革新的に医療技術が進化しました。くも膜下出血などの病気に対しては、カテーテルと呼ばれる管を足の血管から入れて動脈瘤(りゅう)にコイルを詰めるカテーテル手術が主流になりました。また近年は鼻から内視鏡を通して脳腫瘍を切除する経鼻内視鏡手術も行われるようになってきています。これらの手術によって、以前より患者の体への負担が随分軽くなりました。
世界トップレベルを誇る日本の経鼻内視鏡手術
脳は半球の形をしており、その底辺にあたる最深部分は「頭蓋底」と呼ばれます。ここにできた腫瘍(しゅよう)を、脳内を傷つけずに切除するには大変高度な技術が必要とされます。経鼻内視鏡手術は、こうした難しい頭蓋底腫瘍を切除する手術です。経鼻内視鏡手術ができる病院は国内でも少なく、さらに内視鏡で切除だけではなく縫合まで行える医師は世界でも限られます。縫合をきちんと行うことで脳の髄液が漏出することもなく、患者の命を守ることができるのです。日本人はもともと手先が器用であり、日本の医師は欧米の医師に比べて手術手技がうまく、世界でも高い評価を受けています。またこれらの手術手技や方法論は日々研究開発が行われています。
ハンドアイコーディネーションの力が必要
革新的に進化している脳外科の分野で今後期待されるのは、デジタル世代の若い力です。内視鏡手術では、画面に映し出された状況に対して手を正確に動かす「ハンドアイコーディネーション」の力が必要となります。同様に、カテーテル手術もX線画像を見ながら手技を行っていきます。普段からデジタル機器に親しみ、使い方に慣れている若い世代は、こうした手術に対する技術の習得や向上が早いと考えられています。脳外科の分野には、デジタルネイティブと呼ばれる人たちが将来活躍できる場が多くあるのです。
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群馬大学 医学部 医学科 准教授 登坂 雅彦 先生
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