不動産の価格は「人の反応」で変わる!?

新築住宅が人気なのは日本だけ?
日本で流通している住宅の多くは新築で、中古住宅は16%程度です。中古住宅の流通が70%を超えるアメリカやイギリスと比べても、日本では古い住宅に価値を見いだしづらい状況になっています。しかし人口が減り、空き家が増加していく中では、中古住宅を再生して、市場で流通させていくことを考える必要があります。
「思ったより安い!」という感覚がカギ
住宅などの不動産は「人の反応」が価格に反映されています。オフィスビルに関する調査では、ロンドンの投資家の90%は古いビルでもリニューアルすれば賃料稼働率が上がると期待していました。一方「新しいもの好き」とされる日本では、リニューアルしても価格上昇の期待は10%と低く、「マンションの手入れがいくら良くても価格を上げる要素にはならない」とされてきました。
そこで、マンション価格に対する居住者の意識調査が行われました。すると、マンションの維持管理の良さは、買い手が「この値段で買えるといいな」という願望価格を引き上げたのです。つまり実際の価格を見て、「思ったより安い!」と感じることがわかりました。このように不動産価格の背後にある人の価値意識を一つ一つ「見える化」することで、中古住宅市場を変える可能性があるのです。
そもそも不動産って?
私たちが立っている地面は日本の「領土」ですが、そこから広がる12海里(約22km)の範囲を「領海」といい、その上を「領空」といいます。これらが他国から一切支配を受けない「国を形成している領域」です。民法第86条第1項では「土地及びその定着物は、不動産とする」と定義されており、「領土」は土地だとすると、不動産は「国を形づくっている土台」といえるのです。そのような不動産の価格の背後にあるメカニズムを客観的データに基づいて解明し示していくことは、結果的に国民生活の発展や心に豊かさを感じるまちづくりにもつながっていくのです。
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先生情報 / 大学情報

明海大学不動産学部 不動産学科 教授小松 広明 先生
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