「見て学べ」はもう古い 「スキルテック」で技能を身につけろ!
技能者を育成するには?
少子高齢化に伴う人手不足に対応するために、さまざまな分野で機械化や省力化が進められています。しかし、現状では人でなければできない作業もたくさんあります。特に熟練技能を必要とする分野では、従来のような長期間の修業ではなく、効率よく人材を育成する方法が求められています。そのために、熟練技能者の作業を動画に撮ったり、マニュアルにまとめたりといった「形式知化」は行われてきました。しかし、効果が検証されていないことに加えて、熟練の職人のやり方を見たとしても、習得者がその通りにできるわけではないといった問題があります。
技能を科学する
そこで、「スキルテック」という概念が提案されました。スキルテックはSkillとTechnologyを掛け合わせた造語で、技能を科学的に分析して効果的な指導方法を確立・実践することを指します。例えば、簡単な事例では、モーションキャプチャやアイトラッキングなどを活用して、さまざまなレベルの技能者のデータを蓄積し、動作の特徴を抽出する「技能分析」をして、すべての指標をデータ化します。習得者は、自分が習得するべき技能について、データを見ながら、模範にできる人と自身のデータを比べながらトレーニングできます。自分のレベル向上もわかるので、モチベーションアップにもつながります。
技能者の技を競う技能五輪
金属や機械加工、洋菓子製造などさまざまな職業技能を対象にしたオリンピック、「技能五輪国際大会」があります。若年層に技能の重要性を伝えて技能を尊重する機運を醸成することを目的に、1950年から隔年開催されています。この大会で日本は多数のメダルを獲得しており、連覇が続く分野もあります。大会で好成績を修めるためには、メンタル面のトレーニングも欠かせません。その一環として開発されたのが「実力発揮メソッド」です。これは過去の優勝者に、本番で実力を発揮する方法をヒアリングなどにより分析したもので、技能五輪に限らない汎用的なトレーニングメニューとなっています。
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