ロボットの「皮膚」を作るには? 人とロボットが協力するために

ロボットの「皮膚」を作るには? 人とロボットが協力するために

人とロボットが一緒に働く時代

自動車工場などでは、人のほかにロボットも働いています。そこでは安全対策のため、人とロボットの間に柵を立てるなどの方法でお互いの距離を取る必要があります。しかし法律が改正され、いくつかの条件を満たせばロボットが人と同じ場所で働くことが可能になりました。ロボットが人の近くで安全に働くために、センサが重要な役割を果します。

触覚センサはロボットの皮膚

ロボットの皮膚の代わりになるのが、「触覚センサ」です。触覚センサは、色々な種類がありますが、接触状態を検出する接触圧センサや非接触を検出するセンサなどがあります。接触圧センサがあれば人がロボットに触れて操作することも可能です。非接触センサは接触前に対象を検知できるため、衝突事故を防ぐような機能を実装するときに役立ちます。これまでの触覚センサは、接触か非接触、どちらか一方が優れているものが多いです。もし接触から非接触まで正確に検出するセンサが実現すれば、より安全で便利な協働ロボットが実現できるでしょう。接触圧センサと非接触センサを別々に考えるのではなく、1つのセンサに集約させる研究が行われています。遠くから近くまで、さらに接触状態まで、途切れることなく検知できるようにするのです。

接触にも非接触にも対応

接触圧センサや非接触センサでは様々な原理が利用されています。そのような中、「静電容量」測定のみを利用して、非接触から接触まで測定可能なセンサが提案されています。ただし静電容量センサには、検知できる距離を伸ばしにくいという課題があります。また、光の反射時間を測定し、対象までの距離が検出可能なToFセンサを用いた非接触センサが提案されています。しかし、反射時間を測定していることから近距離の精度が悪い課題があります。静電容量センサとToFセンサにはそれぞれ長所と短所がありますが、これらを組み合わせ、お互いの短所を補い合い、長所を活かすことで、長距離から接触状態までシームレスな測定が可能になりました。

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福岡大学 工学部 電気工学科 准教授 辻 聡史 先生

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電気工学、センシング工学

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メッセージ

高校までの勉強は答えが決まっているものがほとんどです。しかし世の中にある仕事や研究の多くには、決まった正解がありません。正解を自分で定義してほかの人を納得させ、世の中に役立てていく必要があります。正解を定義するためには、さまざまな経験が必要です。勉強や部活、趣味などで得た経験は、将来なんらかの形で役に立つはずです。
私も学生時の部活や会社員時の営業部での経験など、今の仕事に直接関係ないことでも、役に立っていると感じることがあります。あなたも目の前のことに一生懸命取り組んで、経験を積んでほしいです。

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